お尻の悲劇。
初めての病院。お尻の災難。
俺はカンチ。
フレンチブルドックだ。
フレンチブルドックは世間では「お金のかかる犬」と言われている。
俺たちは犬の中でもきわめて繊細だ。
すぐ耳垂れ、皮膚病にかかる。
で、俺もなんだか最近チンの周りの毛のないところに斑点ができた。
痒い。
かゆいが、、、
俺の短い足ではチンのところがかけない!
座りながら後ろ足を投げ出して、前足でかこうものなら後ろにひっくり返る。
その様子を見たユウタ。
「カンチどうした?」
股がかいいんだよ!
見てわかれよ。
股が、かいーのー!!
俺はひっくり返るのを承知でまたかく。
がひっくり返る、、、。
ユウタが気付いてオレを病院に連れていくことになった。
仁科家には車がない。
動物病院はどうやら遠くて、散歩コースの3、4倍はあるらしい。
俺はユウタの自転車のカゴに乗せられた。
だがしかし!!
カゴのあみあみに、肉球とケツ肉が食い込む。
俺はそれがたまらなくて駄々をこねた。
暴れて見たわけだ。
俺は散歩の時にだって、道路のあみあみ(下水道の金属格子)だって嫌いなのに!!
ガシャーン。
自転車が倒れる。
「はぁもーわかったよ。」
おおお?
俺はユウタが何か他の手を打ってくれることを期待する。
俺はユウタの自転車の脇で、また、股をかく。
そしてひっくり返る、、、。
「ばぁーちゃんこれ貰っていい?」
「いいけんが、何するだね?」
「カンチのケツに敷く。」
という会話が聞こえる。
戻ってきたユウタが手にしていたもの。
女性自身(週刊誌)だった。
表紙には可愛い女の子が写っている。
俺は表紙の可愛い女の子をケツに敷いて病院までの30分の距離をおとなしくしていることになった。
なかなか気持ちがいいもんだ。
自転車!!
だがしかし!ここからが災難の始まりだった。
俺は病院が何するところかわからない。
待合室ではおしゃれな首輪おしゃれなリードをつけた犬たちが、これまたお洒落でこぎれいな飼い主に抱かれている。
俺はユウタを見上げる。
こいつはジャージだ。
病院とは何か知らんが、俺はユウタが場違いなところに来ちまったと思っていた。
「仁科カンチくーん。」
「!?」
俺が呼ばれた!おれ!
あの綺麗なナース服のお姉さんに呼ばれた!!
俺は張り切ってお姉さんのところに駆け寄る。
なでなで、ゆさゆさ、ポンポン!
を期待する。
ハッハッハ!興奮していきが上がる。
「!?」
お姉さんがいない。
そこにいたのは白い服をきた男。
「どうしましたー?」
「股に斑点ができて痒そうなんですよ。」
男は舐め回すように俺をみる。
「じゃあ処置台に乗ってくれるかな?」
俺はユウタに持ち上げられて
男の腰くらいの台に乗れられる。
なんだ!?なんだ!?
男が俺の股をまさぐる。
おい!!
それは俺のチンだ。
大事なチンを触るな!!
チンは痒くない!
「んーそうだねー。」
男は頷きながら俺の股をまさぐる。
「体温測るねー。」
その瞬間、ケツに何かを差し込まれた。
「キャン!!!」
悲劇だった。
俺は自分でもびっくりな甲高い声を上げた。
ケ、ケツ、、!!
そしてそれが引っこ抜かれた。
俺はもう気持ち悪くて、おすわりしたままケツを処置台に擦り付けてモジモジ。
ユウタのジャージに頭を寄せた。
もう帰りたい。
帰らせろ、ユウタ。
涙が出た。
ユウタは、、、
必死に笑いをこらえていた。
コイツ、、、!!!
俺はなんだか白い錠剤をもらった。
俺はまた、週刊誌の女の子をケツに敷いて自転車で帰る。
その日、仁科家ではユウタが食卓で笑い転げている。
「アイツ、ケツ掘られてキャン!!って!
ケツ掘られて、泣きべそかいてた。ぎゃははは!」
ユウタめ!
ユウタめ!!
この屈辱はいつか晴らしてやる!
病院などもう2度と行くものか!!!
俺は心に決めた。
だがしかし。
俺は3年後蜂に刺されてまた病院に行く。
そして、あのケツの悲劇を思い出し青ざめ。
受付のところで立ったままソソをするのだった、、、。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます