当たって砕けろ

弱者。

第1話 いたって簡単な逃げ

ちょうど一年前、私は中学三年生だった。

私は吹奏楽部ですごく弱い部だったけど、充実した日々を過ごしていたが、高校でも吹奏楽を続ける気は無かった。


確かに音楽は好きだ。

だが、楽器は別だ。

元々は歌を歌いたかったのだが、中学では人数が少なかったため吹奏楽部と合体してしまったので仕方なく、吹奏楽をやっていたのだ。

結果的に、メンバーともすごく仲良くなったし、音楽も今まで以上に好きになったが、やっぱり歌を歌いたかった。


音楽の強豪で進学校のA高校。

最初はみんなと同じA高校を目指していた。

だが、日が経つにつれて不安になっていた。

成績は五段階のうちの四。

悪くはないが良くもない。

A高校は五に近い人でも落ちる可能性があるということを聞いて余計に不安になった。


私だけが落ちて、周りのみんなが受かったら…。

いつしか、そんなことばかり考えるようになっていた。


周りの吹奏楽のメンバーは吹奏楽の強豪を目指して入試に向け勉強しているなか、私は悩んだ。

このままみんなと入試の勉強をするか推薦を受けるか。

もし、推薦を出すとしたらA高校に出す気はなかった。

一段階下のB高校に出そうと考えていた。

B高校はとくに何もない学校で、勉強は中の下くらい、A高校を落ちた人が二次試験で受ける滑り止めの高校だった。

だが、推薦を受けた人は必ず受かると言われていた。


そして十一月のある日、推薦で行くことをきめた。


そう、つまり私は、逃げを選んだのだ。


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当たって砕けろ 弱者。 @mkpudt0307

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