第6話 僕はね... ...

忘れてしまいたい過去ではなかったし、私自身忘れている事にも気がつかずに。だからいって、みんなに忘れられていたかと言えば、その事は、今も色濃く残るらしい。実際に現地を訪れた事はないが、ドラマにも書かれるくらいなので、有名な話なのだろう。


彼には、過去でも現世でもお世話になりっぱなしである。過去でも現世でも、一片の曇りもなく愛してくれていたというのに、あまりにも普段通りにするから、気がつかずにいた。彼には何気ない事なのだろう。あまりにも抵抗なく普通にやってのける姿は、今も昔も変わらないらしい。だがしかし、私には、過去の記憶などない。よって、無視だったのである。彼は現世では、独身を貫いていたらしい。過去では、妻子ある身だったとの事。ならば、妻に与えた悲しみは、測りしれないものがあったと思う。ドラマには、そんな事はないと言っていたが、再度言うが、私は現地を訪れた事はない。よって現地では、どう扱われていたかは、わからない。妻もわかっていて一緒になったのかもしれないし、彼は昔から人に好かれる。老若男女誰からも愛されるキャラなのに、彼が、何故現世では独身だったのか。その事は、彼から告げられてはいるが、私には普通すぎてびっくりはしない。私の周りにもそういう人いるし、実際に成功した人も一族の中にはいるという情報を得ていたので、私には普通の事だと思っている。誰にもある感情だし持ってはいけないという法律もない。昔から告げられてはいないだけで、実際には、沢山いるとの事。だがしかし、昔から告げられてはいけない存在。私には、昔からわかっていたのか、その罪滅ぼしを自主的に行って行こうと本能が叫んでいた。彼はそれを察知し、昔も今も変わらない暖かな眼差しで、私を包んでくれた。ただ、昔みたく悲惨な状態は、回避されたらしい。彼から告げられた言葉には、私の存在があったから、踏み止まれたらしい。良かった。彼であるが故に彼なりの覚悟があり、私を救ってくれたのは、見て取れるが、そんな事より生きてよ。と私は思う。良かった。現世では、生きているらしい、良かった。

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