詩 『物語のための物語』

本田育夢

詩 『物語のための物語』

男を語れば男が怒り、

女を語れば女が喚く。

障害者にも難病人にも赤貧家にも、

同情に増長した擁護者たちがいる。

夢や希望や未来や親愛は、

光輝に惹起する半死者のためのもの。


繁文縟礼を厭うので、

私は物語のための物語を書こう。

誰かに宛てた物語も、

眼前の汝に宛てた物語も、

私自身のための物語も、

已に語満ごまんと並べども。


それの数は真に少ない。


然らば。

死は本棚の膝元、

物語の瞋恚に触れしゆえと記憶せよ。


多幸な終わりHappyEnd


(196字)

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詩 『物語のための物語』 本田育夢 @Ikumu_HONDA

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