『お姉さんに耳かきされちゃう小説』

『耳かきお姉さん』

「はい、こんにちは、耳かきお姉さんです♪」

「この小説では、わたしがあなた……」

「つまり、これを読んでくれている"あなた"に耳かきをしちゃいまーす」

「じゃあ、早速だけれど…………はい、おーいでっ」

「ひーざーまーくーら♪」

「しないのー？」

「えーなんで、なんで〜？」

「いいじゃん、膝枕ー、ふかふかのふにふにだぞ〜？」

「えっ………………太ってないですぅー」

「そうやって、すぐに太ってるって言う人、お姉さん嫌いですぅー」

「た、たしかに最近ちょっと、スカートがキツい…………って！ 何言わせるの！」

「もういいっ、耳かきしてあげないもーん」

「ふーんだっ」

「あ、こら、髪の毛を引っ張らない」

「ダメだよー、女の子の髪は大事なものなんだからー」

「粗末に扱っちゃダメなんですよー」

「…………もうっ、それで、するの？ しないの？」

「はいはい、最初から素直にそう言えばいいのに……」

「ほら、じゃあ……ここに、頭乗せて？」

「はーい、いらっしゃいませー♪」

「あ、うん、横に向いてもらえるかな？」

「あー、そうだねー、じゃあ、最初は右耳を上に向けてもらえるかな？」

「はーいっ、ごろーん♪」

「よーし、それじゃあ、綿棒取って、とって、とてと」

「……たちつてとー！」

「なんちってっ」

「…………あー、何ですか、何ですか、その目はー」

「はいはい、やります、やります、耳かきいたしますー」

「それじゃあ、お耳をはいけーん」

「…………ふむふむ」

「…………ほうほう」

「そうきたかー」

「あ、ううん、大丈夫、ちゃんと綺麗にするよっ」

「じゃあ、まずは耳のふちからね」

「ここは、シャンプーの洗い残しなどがたまるからねー」

「綺麗にしとかないと、ダメなのだよー」

「よいっしょっと…………どう？ 痛くない？」

「大丈夫？」

「うんっ、それじゃあ、続けるね♪」

「くりくりくりくり〜♪」

「もういっちょ、くりくりくりくり〜♪」

「あっ、喋らない方がいいかな？」

「なんか、さっきからうざそーにしてるしぃ？」

「してない？」

「ほんとう？」

「ほんとにっ、ほんとっ？」

「ふふっ、良かった♪」

「あっ、お客さん、おめめがとろーんってしてますよ〜？」

「眠いんですか〜？」

「あ、ううん、眠たくなったら、寝ちゃってもいいよー」

「うんっ、お姉さんのふかふか膝枕で寝ちゃいなー」

「でも、その前に……」

「中も綺麗にしないとね♪」

「それじゃあ、中に挿れるねー」

「あっ……あー、いますな、いますなー」

「隊長！ 大物を発見いたしましたー！」

「これより、直ちに回収作業に入ります！」

「……んっ、隊長！ こやつ、中々…………しぶとい……です」

「もう…………少しで………………やった！」

「隊長！ 大物を捕らえました〜………………って、あれ？」

「あれあれ〜？」

「おーい、起きてますかー？」

「………………」

「返事がない、ただのしかばねのようだ ▼」

「もう、まだ途中なのになぁ〜」

「こんな所で寝ちゃうと、風邪引いちゃうよ〜？」

「本当にしょうがないんだから……」

「貴殿には、お姉さんの匂い付きカーディガンをくれてやろう」

「ここで、装備していくかね？」

「そうか、そうか、装備していくか」

「…………って、あんまりふざけてると起きちゃうね」

「ふふっ、おやすみ♪」