41:デンタル#抜歯したその2

 俺ことP.N.『水縹みはなだF42(@Mihanada_f_42)』には婚約者が居る。



 そう、抜歯の痛みを慰めてくれる可愛い婚約者がな!!!



 今回は抜歯回です。

 全開超絶ビビってヒーコラしていた俺であるが前回で懲りた。



 (゚∀゚)そう、抜歯は怖くない! 怖くないんだ!!



 だから意気揚々と病院へ行ったわけだ。今回も普通に『ミリミリ』『メシリ』とかいって簡単に引っこ抜いてくれるんでしょう? 俺はしってるンだ!




 だからなんでドリルを用意しているんでしょうか?




 繰り返す。なぜドリルを用意しているのですか?

 ぼくはわかりません、ドリルをなぜよういするひつようがあるのかわかりません。


(´・ω・)「じゃあ麻酔しますんで」

(;'A`)「アッハイ」


 待て待て待て待て、説明してくれ! そのドリルは! ドリルはなんなんだ!! おまえ、どり、ドリルって! なん、ドリル! おまっ、おまああああ!!!


 非情にも顔に掛けられる青いアレ。


(´・ω・)「抜きますねー」

(;'A`)「ファイ」


 想定通りやっとこでギシギシされる俺。メキョォベキィと耳がアヒンなる音がなるも全く痛みはないが心に来る。


(´・ω・)「抜けないなぁ、ちょっと削りますね」

(;'A`)「?!」


 ドリルだ。ドリルが来た。


 しかも。普通の歯医者さんのが『ギュイーン』だとすると、今耳にした音は『ィゥウオオオオオオアアアアン!!!!!』って感じだ。


 ジムとジムの神イデオンぐらいちがう。ジェット機かよ。



 でも痛くない。痛くないのが逆に怖い。


 ギゴガガガガゴゴゴ。

 ギシギシギシ。

 ギゴガガゴゴゴギゴ。

 ギシギシギシ。

 ガギギギゴギゴギガ。

 ギシギシギシ。


 やっぱり親知らずは抜けません。



(;´・ω・)「んー、仕方ない。歯を割りますね」

(;'A`)「?!」



 割る? 割るって何を? 歯? 歯割る? え、どういうこと? 理解が出来ない。


 理解できないうちになんかこう、電気ノコギリみたいな音がする。こう、『ィゥオオオオオオオオオアオオアオアオオアオアオアオアオン!!!』みたいな。あるじゃん。テレビショッピングでコッピングソーとかあるじゃん。ああいう音がするわけよ。


 から。怖えわマジ怖えなに口の中で何が起きているの?



 俺は気づくと震えていた。恐怖である。恐怖で震えていた。手と足が、なぜか左側だけカクカクと震えていた。


 なぜ左。あっ、ぼくわかった、今回右上の親知らずだから右脳が近いんだ! だから右脳に紐づく左半身が痙攣しているんだね!!



 やたらこええわ。怖すぎて涙も出ねぇわ。



 特に匂いだ。匂いがヤバイ。こう、鋳物を削っているようななんかすごい焦げ臭いような薬品臭がすごいんだ。多分歯のエナメルの匂いなんだろうな。だがこれが異様にきつい。これが地獄の匂いってやつか。むせる。


 恐ろしい、なんて恐ろしいんだ……やめろ、やめてくれそんな……アヒヒィ!!!


 ちょっと耳にしちゃいけないたぐいの『メッギョ』とか『ベギ』とか音を聞きつつ、俺は時がすぎるのをただ待つしか無い。


(´・ω・)「はい、抜けましたので掃除しますね~」

(;'A`)「!!!」


 お、おわった。やっと終わった! あとは縫合して終わりだ! 2針縫った後青いアレを剥がされて、ようやく俺は開放されたのだ。



 そして目撃する……無残な親知らずの姿を。血みどろの……バラバラ殺歯死体……。歯というものは1本であるはずだ。それが、3つ……3つに引き裂かれて転がっていた。



 最早ミステリーの第一殺人事件の第一目撃者の気分である。



 余りに鮮明で美しく、あまりにグロテスクに彩られた朱。これが……惨劇の末路だっていうのかよ! 流石に今回は余りに怖かったので引き取るのを止めた。


 だってバラバラなんだもん……怖いよ、余りに怖い。ちょっと資料としても置いときたくないぐらいの色合いだった。



 そうして俺は今、親知らずのない快適な生活を手に入れた。痛みはあるがフィアンセがそれを慰めてくれる。『水縹さんの、いたいのいたいのとんでけー』、だって。



 あ゛あ゛あ゛か わ い い す ぎ か よ。



 ああそうさ、結局惚気だ悪いか。俺は幸せを謳歌しているのだ。


 まぁこんなくだらないことを書いているぐらいなら、そろそろ一旦締めにしても良いかもしれんね。



 ではコンゴトモヨロシク。

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