老人シェアハウス
ハリマオ65
第1話:高齢者シェアハウス(201803~06)
佐島米子は一年半前に、夫、佐藤一郎に先立たれた。
半年前から長女の木島恵子の家族3人と佐島米子の実家で同居生活を始めた。
以前は、友人の北山さゆり、佐藤みどり達が実家に遊びに来てお茶のみ話を
楽しんでいたが、長女一家と同居になり自宅で楽しみにしていたお茶飲み会
ができなくなった。半年が過ぎ自由に行動できないのに嫌気がさしてきた。
今日は久しぶりに近くの喫茶店に友人二人と会う事になり楽しげに喫茶店に行き、
いつもの様に世間話やニュースの話題であっという間に時間が過ぎていった。
友人の二人も旦那さんに先立たれて3年たっていたが、すっかり元気を
取り戻していた。
北山さゆりが、ねー知ってる、最近ここからバスで20分行った、大きな農家を
改修して高齢者のシェアハウスができたそうよ。何でも、高齢の女性5人が
入居して費用も15万円+食費3万円と比較的安いみたいと話してくれた。
全員、まだ元気で洗濯も掃除も自分たちでやってるそうで食事を自分で
作れば月、15万円だと言っていた。
ただし要介護、要支援の人は、入れないそうよと言った。お手伝いさんが一人
、昼間いてくれて夜間は、警備会社とつながって安心だそうよ。近いうちに見学に
行ってみないと言い、彼女がその高齢者シェアハウスに連絡しておくと言ってくれた。
この話に佐島米子、佐藤みどりも興味を持ち見学する事にした。来週水曜日、昼、
この喫茶店で集合して行く事が決まった。約束の日に喫茶店に集合してバスで
「高齢者シェアハウス:緑の里」へ到着するとスタッフが出迎えてくれた。
施設の女性からパンフレットをもらい説明を受けた。それによると支援、介護の
必要のない65才以上の高齢者で基本的に重い持病のない人が対象で、もし介護、
病気になった段階で他の施設に移っていただくという条件付きで
入居できると話してくれた。
施設を見回してみるとステレオ、大きなテレビとDVD、生け花、トランプ、
将棋、数冊の本、自動式の麻雀台一つ、珈琲メーカー、紅茶、お茶が
完備されていて食事付きと食事なしの一方を選ぶ様になっていた。
部屋は8畳と6畳があり、どちらか選べる。組み立て式のタンス、ベッド、
小さな茶ダンス。2階にも5部屋あり、離れの部屋が2つあり、全員で12名
まで収容できる大きな施設。4人はいれる大きな浴槽。
トイレは、2階に2つ、1階に3つ。掃除されきれいな、リビングと、
エレベーターが完備してあった。まだ、入居者募集中であり、入居者が
10人以上になれば常時、昼間、女性2人を常駐させる予定だと言った。
1時間くらい見学と説明を聞いた後、失礼した。また喫茶店に戻り、北山さゆりが
開口一番、あの施設で月、15万円、いいんじゃないと言った。
2人の友人も、確かに割安かもねと同感した。自宅に帰り、佐島米子(73才)は
、今日行った、高齢者シェアハウス「安らぎの里」の事を、長女、木島恵子に話して
みたが老人同士で本当に、大丈夫なのと言うだけで、あまり関心がなさそうだった。
そこで佐島米子は実は、あそこが気に入って近いうちに入居したいと思っている
だけれどと続けた。木島恵子が、えー嘘、そんな簡単に決めちゃって
大丈夫なのと言い返した。だって友人と三人と一緒に入居すれば寂しくないし
気兼ねもいらないから、第一楽しそうなんだものと言った。
それじゃー今の私たちと一緒の生活が全然楽しくない見たじゃないと少し
怒ったように言い放った。あわてて、そうじゃーないの、ただ楽しそーと思った
だけよといい直した。長女、恵子が、木島太朗が帰ってきて高齢者シェアハウス
の話をした。それに対して太朗は、そっちの方が良いなら、そうしたら
良いんじゃないかと素っ気ない返事だったので、恵子は心配なのよと言い返した。
太朗は、お母さんの家に住まわせてもらっている身であり、こっちが世話に
なっているのだから、お母さんの意見を尊重すべきだよと言った。
それに高齢者シェアハウスも、ここから、車で15分位の近い所にあるわけ
だから、そんなに心配しなくていいんじゃないかと言った。お母さんの自由に
させてあげた方が良いと思うよと話した。
それを聞いて、米子は、喜んで、太朗さん、ありがとうねと言った。
翌日、電話で友人二人に電話したところ彼女たちも了解をもらったと言う事で、
入居の話を実現しようと決まった。数日後、再度、3人で高齢者シェアハウスを
たずねて必要書類をもらってきた。施設の担当者が、書類は、郵送でも構いませんよ
と言ってくれた。1階と2階と離れ4部屋ありますが、何処が希望ですかと聞かれ、
みんな、1階を希望しますと言った。それでは、1階の3部屋、希望と言うことで、
抑えておきますと言ってくれた。
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