好きなものを好きと言うのは
@IROHANI_
第1話
好きなものを好きと言うのは、正直難しい。
それは人であったり食べ物であったり場所であったり。好きだ好きだと言い過ぎるのも何だか軽過ぎる気もするし、だからと言って考え過ぎるとまた言えなくなる。
性格だと言えばそうなのかもしれないけれど、どう?筆者はそのタイプ。
ここで一つ昔話。
小学生の頃、同じクラスに好きな男の子がいた。席も彼は私の後ろ。よく話をして、仲良しな男友達。もう少しで卒業、という時にバレンタインデーという何とも女子が盛り上がるイベントが近づいてきた。
ああ、どうしよう。彼にチョコ、あげていいのかな、と幼心にも少しの恥じらいが私の心を染めつつあった。もうすぐバレンタインデー、そんな時に仲良しの友達から、「一緒に◯◯くんにチョコあげない?」なんて提案をされた。え、もしかして好きなのかな。元々、好きな人を友達にも言うタイプでは無かったけれどここへ来てまさかの身近なライバルが発覚した。どうしようと動揺しつつも一緒にあげることにした。今思えばこれがいけなかった。当日には二人でその彼を呼び出して、チョコを渡した。正直、ホッとしたのは言うまでもない。だって友達だったから。一人で渡すには私の心臓は弱過ぎる。誰かと少しでも軽いノリで「あげる!貰って!」とササッと渡せたのは本当に有り難かった。ただ、一つその一緒に渡した子にも言えなかったのは、小さなメモをチョコの箱にこっそり入れておいたのだ。
「好きです」
ただそれだけを書いた小さな紙、私の気持ちの全てだった。
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