ライバルとは呼ばない
カゲトモ
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今日は良く晴れている割に風が少ないから、きっと飛んでいる花粉の量もいつもより少ないんだろうな。なんて、俺は花粉症でも何でもないんだけど。
駅からスマホの地図を頼りに歩いて来たけど、じんわりと暑くなってきた。パーカーを羽織って来ただけなのに、これでも暑いなんて。今日も夏みたいな一日になるのだろうか。服装失敗した。
住宅が多く並ぶ地域に、村おこしの一環でレストランやカフェ、バーや雑貨屋が立ち並ぶ一角がある。そこに目的の店はあった。
フレンチがベースの料理を出すバル。メインは夜の営業だけど、ランチの営業もしているとか。本当はランチを食べて帰るつもりだけど、今日は日曜だし混んでいたら諦めるしかない。祝いの花だけ渡せたら、とりあえずはいいか。
「ちょっと可愛すぎたか?」
我ながら今更可愛すぎたかなとも思う。近所の花屋さん(なんかおしゃれな方の花屋)で、お祝いに贈りたいんですけど予算内でお願いできますか、なんてオーダーをしたら作ってくれた花かごだ。
『可愛いのとちょっと大人っぽいの、どちらがよろしいですか?』
そりゃ、男から男に渡すんだから可愛いのよりちょっと大人っぽいのだよな、と即答したけど、出来上がったのが予想以上に可愛かったわけで。
・・・速水って言うよりも奥さんにってことで、まぁいいか。
スマホの画面に映るゴール地点が近くなってきた。あとはあの角を曲がれば分かるはずだ。何となく、活気の溢れる気配もする。
住宅に住む人々の憩いの場としても利用されている一角らしいし。きっと公園とかも併設していて子供たちが多いんだろう。高く良く通る声が聞こえる。
「わ」
ひゅぅっと頬を掠めて、目の前を桜と一緒に駆け抜けて行った。開けた視界には、長屋のように店が並んでいる。
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