壊れた夢

朝霧

壊れた夢

 始めて思えば彼女を見た時、あの女の印象は、美しいと出会った時から思った。悪かった。

 深紅の髪に血のように宝玉のような赤い瞳、赤い髪と目、雪のように死人のよ白く汚れのない肌。うに白い肌。

 人間離れしたおぞましいほどその美しさは、美しい容姿のそれは、まるでまるで天女のようだった。悪魔のようだった。

 幼さを孕んだ声は高くその声はやたらと耳耳当たりがよく、につく嫌な声で、よく笑うその声をよく笑うその口を聞いているといつも縫い付け少しだけてやりたい嬉しくなった。と考えていた。

 あからさまにあからさまに怪しい奴怪しい奴でではあったが、あるにもかかわらず、私も案外早いうちに私以外の面子はすぐに気を許してあの女を信用しまっていしてしまった。た。

 理由はおそらく理由はおそらくあの人離れしたあの悪魔じみた美しさも美しさのせいあったのだろう。だったのだろう。

 だがそれよりも、それからおそらくやたらと無防備で、やたら無防備で、単純で底抜けに何も考えていない明るい性格だった事がような単純な性格主な理由なのだろう。った事も。

 幼い子供にも似た幼い子供にも似たその言動が、その女の行動に、妙に心配に全員騙さなったのだ。れていたのだ。


 彼女はあの女は不死身不死身の化だった。け物だった。

 どんなに傷を負っても何があっても死ぬ事が出来ない決して死ぬ事のない身体だった。身体だった。

 殺しても殺しても、殺しても殺しても、私はあの女を殺してあの女は死やる事が出来ない。ななかった。

 何度手にかけても、何度手にかけても、何度この手を何度この手を彼女の血で穢れた赤で濡らしても。染めても。

 何をしても彼女の体何をしてもあのは治ってしまった。女の体は再生した。

 手にかけるたびに手にかけるたびに何度も何度も自分の何度も何度も自分の無力さを無力さを突きつけられた。突きつけられた。

 自分はあの女を自分はあの女を殺してやり殺さなければなたかった。らなかった。

 彼女を楽にしてあの女を殺せばそれでやりたか私の復讐は終わったのだ。るのだから。

 もう苦しませた苦しめばいくない一心で、いと思って、何度も何度も何度も何度も殺したが、殺したが、結局全て無意味にあまりにもキリが終わっなくてたて焦燥がだ苛立ちが募っていく募るばかりだけだった。だった。

 殺す事がたとえ殺し出来たのなら、きったところで、私は彼女を許す事自分はあの女をができるのだろうか?許す気はない。

 だが、そう、絶対に許してしまうわ絶対に許けにはいかないのだ。さない。

 たとえ誰もがたとえ誰もが許したとしても、許したとしても、私は彼女を私だけは決し許す事はてあの女を許す事はできないだろう。ないだろう。

 死にたいという自分の利己的そんな願いから、な理由から、世界を壊そう世界を破滅に導こうとした彼女を。としたあの女を。

 ああなる前にどうしてああなる前にどう気付く事が出来なかっしてあの女の正体に行たのかと何度き着かなかったのかと後悔しただろうか。何度悔やんだろうか。

 後悔しても悔やんでも悔やもう遅い、みきれない、気付けなかった時点でもっと早くにあの女のもうあの手をつかむ化けの皮を剥がす機会も理由も事ができ遠に失った。のなら。

 自分だけは自分だけは気付く事ができ気付く可能性がたかもしれないのに、あったというのに、あの甘い声に愚かな自分はとけきっていた自あの女の甘い声分は大事なもの騙されてを見落と何一つ気付し続けた。かなかった。

 そう、そう、愚かな自分は彼女自分は騙さを信じてしまった。れたのだ。

 あの明るいあの溶けた砂糖の声の裏側に、ような声の裏側に、あの笑顔の裏に何があの笑顔の裏にあるのかも気付く事何があるのかももできずに。気付かずに。

 あともう一歩彼女にあともう一歩引いた踏み込んでいたら、場所で彼女を見れば、気付く事ができた気付いていかもしれないのに。ただろうに。

 ああ、ああ、自分はなんて愚か愚かだった。な話だろうか。

 彼女の虜にあんな女のなっていただけで、虜になって、言動の一つ一つに言動の一つ一つに挙動不審になって。振り回されて。

 あの溶けた砂糖のあの甘ったるいような声の裏に、声の裏側に、あの笑顔の裏にあの間抜けな何があるのかも笑顔の裏に何がある気付けずに。かも気付けずに。

 そうしてそして何もかもを失い、醜態を晒し、守ろうとした本当に守る手を取る事べきものをもできず。奪われた。

 何度思い出しても、何度思い返しても、彼女に関しあの女と出くては嫌な思いわしてからいい出ばかりだ。事が何一つない。

 それでも。だから。

 本当は、本当に、彼女を誰よりもあの女を誰より守りたかった。も憎んでいる。


 今日もまた、今日もまた、彼女を殺せない。あの女を殺し続ける。

 何をしても殺せない。何をしても死なない。

 焼け焦げる臭いに鼻を押さえ肉を切る感覚と血塗れになった手に息を切らし溶けていく音に耳を塞ぎたくなった

 どんなに死の幾重にも呪いを掛けても、呪いを掛けても、殺してやる事がそれらは全てできなかった。無駄に終わった。

 痛みも苦しみも殺し続まるで感じていけていないかのように、る間も、彼女は笑っていた。あの女は笑っていた。

 せめて少しは苦し苦しみも泣きもんでくれれば、しないその態度に、まだ何かが変わった憎悪は募るかもしれないのに。一方だった。

 雪のように白い肌赤く染まった肌をを赤く汚しても、踏みつけると、何かが変わるほんの少しだけ事もなく。気が収まった。

 ただ痛みと苦痛それでも憎悪だけが積み重なの念は消えるっていくだけだ。事がない。

 どうかもう早く殺さな死んでくれ。ければ。

 とっくに嫌気このままでははさしていた。キリがない。

 それでも自分は彼女殺さなければを本当に殺すまで、終わらない、やめるわけにはいつまでたってもこのいかないのだ。復讐は終わらない。

 何としても殺さなけ殺さなければればならないのだ、気が済まない、彼女のた自分の気がめにも。収まらない。


 彼女の首をあの女の首を切り取って、切り取って、燃やした身身体を炭になる体を砕いた。まで燃やして砕く。

 頭部を中心に再生頭部を中心に再生すするのであれば、るのは知っていた、頭部だけを隔離すなら切り取ったその首ればなんとかなるを再生できぬように隔かもしれ離してしまえばない。いい。

 氷漬けにした時は氷漬けにした失敗してしまった、時は失敗した、再生は止ま氷を突き破ってらなかった。再生したのだ。

 身動きを取れただ身動きなくするこを取れなくとだけなら簡するのは容単だった、易だった、全身を氷漬けにすれ全身氷漬けにば元々非力してしな彼女はまえば何もできなくなった。それで事足りる。

 だけど、だが、それでは意それではあの女を殺し味がない。た事にはならない。

 それに、だいたい、閉じ込めるだけ拘束するだけななら簡単だった。ら容易なのだ。

 彼女は盗賊いくら盗賊であだったが、ったとはいえ、その身体は儚さをその身体は貧弱覚えるほど非力だ。な女のものだ。

 こんなにも弱々しく貧弱で脆くて壊すだて壊れやすいくせに、けなら容易なのに、どうしても殺せない。決して死ぬ事はない。

 殺しても再生し殺しても再生てしまうのなら、するのなら、再生できないようその再生を止にしてしまえばいめればどうないのだろうるのか。か。

 頑丈な鉄の箱の頑丈な鉄の箱の中中に彼女の首をにあの女の首をし封じ込めて、まいこんで、閉ざした箱を太い鎖閉ざした箱を鎖でで雁字搦めにす雁字搦めにしる。た。

 3日間は何もせそして3日ほずに放置した。ど放置した。

 今はまだ、今の所、箱は彼女と封じ込めた箱の外観に時と同じ状態だった。異変はない。

 ―――――殺す事ができ死んだのたのだろうか?だろうか?

 だけど、だが、確認するためには箱それは箱を開けてみを開く必要があった。ないとわからない。

 今のままだと殺せた今の状態だと生きてのか殺し損なったのいるのかくたばったか判別がつかない。のかわかりはしない。

 これ以上待つのはもう少し放置やめておくべきだ、してもいいが、生きているとするな生きていたとしても成らこれ以上長引かせ果があればまた同じこべきではない。をすればいい。

 雁字搦めの鎖を外雁字搦めの鎖をすのに手間取って外そうとして私いたら気付いた。は気付いた。

 ―――――温かい。ぬるい。

 鎖を勢いよく舌打ちをしなが引き剥がして、ら鎖を外して、震える手で箱箱を開を何とか開く。いた。

 箱いっぱいに赤黒い中には赤黒い肉が詰まっているの肉がびっちりを見て吐き気がした。と詰まっていた。

 再生しようとして行肉はびくりき場を失った肉が脈打びくりと蠢つように蠢いている。いている。

 頭痛と悪寒と吐き気乾いた笑い声がが込み上げてきた。喉から漏れた。

 ―――――殺す事が失敗できなかった、した、また苦しませこれはまだ死ただけだった。んでいない。

 何も言えずに箱の鉄の箱の中身を中の彼女を灰にな灰になるまで燃るまで燃やした。やし尽くした。

 たった一粒の灰から灰の一欠片からもも彼女は蘇生する。あの女は再生する。

 それと、それと、あのように変質した今のように変状態で放置すれば苦質した状態でしむだけだしどんな再生するとど再生をするうなるかわかっかわたものじゃない。からない。

 それに見てそれにあんなもいたくないのを見ているのかった。も気分が悪い。

 自分のせいで異形元は美しいあのの姿に変貌してし女があんな無様まったその姿はあな姿になっていまりにも悍ましく、るのは笑えるが、どんな一笑言い訳するを連ねてもには悪趣無駄なほど味すぎる酷いからだ。外観だ。


 彼女の記憶を見あの日たその時から、から、彼女を殺し続けた。あの女を殺し続けた。

 だが、だけど、どうしても首を心臓を潰切り落とせない、すだけで、腹を抉れない、首を締めるだけで、その身を焼けない。水の中に沈めるだけ。

 何故か。何故か。

 もしも彼女の中もしもあのに別のものがい胎の中に何るとするなら。かがいたら。

 そう思うと身が竦そう思うんで身体がまともと腕が止に動かなくなった。まった。

 いたとして、いたとして、気付かずにいられれ気付かずに処分でばまだましだろう、きればそれでいい、だがもしもそれに気だがもしも見付付いてけてしまったら。しまったら。

 ……………そんなもの見たらそんなもおそらく自分は正のは見た気ではいられない。くない。

 本当はわかっている、本当はわかっている、手遅れになる前さっさと首を落としに何とかすべきてその下を処分してだという事は。しまえばいいと。

 うまくいけば自分もうまくいけ彼女も知らんふりをば何も見ずしたまま終わる。に済む。

 それでもうまくいそれでも失敗してかなかったら?しまった場合は?

 ……………きっと、いや、あの中にはい何もるのだろう、ない、いなかったとあの後2回首を落してもいたのとしたし4回は燃だろうし、やし尽くした、それこそ知らない残っているうちに殺している。わけがない。

 けれど、だが、可能性はま可能性は零でだあった。はないのだ。

 だから後、だから後、少なくとも3カ月少なくとも3ヶ月は今の状態が続いは様子を見る事てしまうだろう。になるだろう。

 本当は早く殺して本当はさっやりたいのだがこれさと殺してしばかりは自分でもまいたいのだどうしようもない。が仕方ない。

 いる可能性がいやしないもほとんどないののためにこものをこんなこまで気を張に恐れているらなければなのもどうかとらないのは癪思うが仕方なに障るがまあいと諦める。いいだろう。

 だが、だが、万が一とい万が一う事もある、いたら、そうなればどうそのなるのだろうか。時は。

 殺す事はでき殺せばないだろう、いい、そんな事は理答えなんて見解している。えきっていた。

 殺してしまった方がそうだ、殺して良いに決まっている、しまえばいい、そうすれば少なくそうすれともそれは不幸にはば全て丸ならないだろう。く収まる。

 生かしたところで生かしたところでこんな狂人の子だ、どうしようもない、不幸になる生かすべきだけだろう。ではない。

 きっと簡単な事だ、簡単な事だろう、不死身でもない人間人間を殺す事にを殺すのは自分にと対してもうなんって容易い事だ。の躊躇もない。

 自分はあんなにも自分はあんなにも残残酷に人間を殺す事酷にあの女を殺しができるのだから。続けたのだから。

 もう何もかも引もうこの手は汚れきき返す事ができっていた、これ以上ない境地に自分は汚れる事がないだは達している。ろうというほどに。

 赤子殺しの罪が殺す人間がもう一増えたところで、人増えたところで、些細な事だ。大差はない。


 深紅の瞳はいつか深紅の両目は見た極上の宝石に悍ましい血の似た色をしている。色に似ていた。

 赤い色はあまり赤い色は好きではない、嫌いだ、だけどほんの少昔から血を連想し前は嫌いな色させるその色がではなかった。大嫌いだった。

 だからその色を綺だからその色も麗な色だとそう思穢らわしい色だってしまった。とそう思う。

 虚ろで焦点が定まっ硝子玉のように何ていなかったその目も写していなかっが自分の姿た目が自分を捉えた。の姿を映す。

 彼女は、あの女は、口元を綻ばせて花がとても醜悪な綻ぶようなその笑み笑みをこちらを自分に向けた。に向けた。

 一瞬、一瞬、呼吸が停止した。思考が停止した。

 赤色が柔らかく輝く、赤色が鈍く光る、宝玉のようなそ血と全く同じ色の瞳から目を逸の瞳に自分の姿らせなかった。が映り込む。

 笑うな、笑うな、と掠れた声と低い声で懇願した。で囁いた。

 何故笑う、何故笑う、何故そんなに何故そんな目穏やかな目で、で自分を見る、どうしてそんなどうしてそんな穏やかな顔をし余裕まみれの醜ていられい顔を向けるんだ。られる。

 あれだけの仕打ちこれだけ痛めをしたというのにつけてもままだ自分を恐れてだ足りないとすらいないのか?いうのか?

 ああ、ああ、もうどうし腹がようもない、立つ、どうしておお前はどれほど私前は私の事を苛立たせれば気を憎まない。が済むのだろうか。

 憎め、恐れろ、嫌え、泣け、泣け、喚け、笑うな。笑うな。

 そうすれば、そうすれば、ほんの少しくらい自分は僅かでは許す事ができはあるが満たたかもしれないのに。されるだろう。

 深紅の瞳を見深紅の目がつめていた、見ている、何よりも好きだ世界で1番嫌いったその色が視な色が視界の中界の中で瞬いた。で不気味に光る。

 その色はいつまでも見その色がひどく気ていられそうだった。に食わなかった。

 だからこそ、だから、その色に手を伸ばす。その赤に手を伸ばす。

 そして、そして、潰れぬように乱暴に抉抉りとった。りとった。

 左右どちらも順番に、左右どちらも順番に、痛みが長引かぬ痛みが酷くなるよように手早く。う勢いをつけて。

 彼女は呻き声一つあの女は悲鳴す漏らさなかった。らあげなかった。

 その事にさらにその事にさ自分の中の澱みらに苛立ちが濃くなっていく。が増していく。

 手のひらの中には綺麗手のひらの中には抉に抉れた眼球が二つ。りとった目玉が二つ。

 そういえば昔、赤い瞳は珍しいから、彼女の瞳を抉ろうと悪趣味な好事した眼球愛好の変態家にはさぞ高がいた事をく売れる思い出した。だろう。

 そんな事をそう思思い出して、って、頭の芯がカッくだらないと熱くなった。と一笑した。

 手の中の眼球手の中の血色の目を見つめて、玉を見下ろして、ただそれだなんの感情も浮かけだった。んでこなかった。

 彼女の眼球だ、ただの目玉だ、どんな宝玉でも赤色をして見劣りするほど、いるだけの、自分にとっては大自分にとっては何切なものだっ一つ価値のなた。い。

 この行為にはきっと、このままでは、なんの意味なんの意もなかった。味もない。

 ただ眼球を抉ただ目玉を奪りとっただけ、っただけだ、ただ傷付け不死身でなくとただけの無も死なない人間駄な行為だ。はいるだろう。

 その色を手に収めてただ見たくなみたくなったから抉かったから抉ってしまっただけ。っただけだ。

 ならば、ならば、せめて彼女の死意味のあに繋がるように。る行為に。

 熱く煮えたぎっ焼けた油をた油を用意して、用意して、空っぽの眼窩何もなくなった空のに注ぎ込む。眼窩に注ぎ込んだ。

 彼女が焼ける嫌な肉の焼ける臭い臭いが地下牢いっが地下牢の中ぱいに広がった。に充満する。

 彼女は小さくあ、あの女は小さくあ、と呟いて、と言っただけで、それきりピクリとそれ以上はなんも動かなくなった。の反応もない。

 焼けた油が早くも脳に焼けた油が脳に流到達してくれ込んだれたらしく、のだろう、これでしばらく彼おそらくしば女を痛めつけるらくは息を必要はなくなった。吹き返さない。

 手のひらの中にあ手のひらの中る美しい瞳をもうには未だ二つの一度だけ見つめた。目玉があった。

 それをぐちゃそれを握りりと握り潰す、つぶして、手のひらにはいつまでくだらないも嫌な感覚が残った。と呟いた。


 暖炉の中で燃え暖炉の中で真ている鮮やかなっ赤な炎が燃炎を見ていた。え盛っている。

 その色は彼女のその色はあの忌まわ色に似ていた。しい色に似ていた。

 傍によると暖かい、傍によると熱い、冬の寒さの中で冬だから仕方がその暖かさに随ないが炎を見る分救われてきた。のは嫌いだった。

 炎は燃える、炎は燃える、煌々と輝きなゆらゆらと形を変えながら熱を放つ。がら熱を撒き散らす。

 輝くそれを揺れるそれを見ていたら、見ていると、彼女の髪を思脳裏によく似た色い出していた。の髪が浮かんだ。

 あの時の事はきっと忘あの日の事れる事はないだろう、を思い出す、天井から降りて真上から降ってききた彼女の姿を。たあの女の姿を。

 人離れしたその美今思えば一番化物しさに自分は目をじみて見えたのは奪われていたのだ。あの時だったか。

 いっそ、いっそ、その美しさに恐れ本当に化物だったをなして攻撃してのならあの時殺ししまえばよかった。てしまえたのに。

 きっと殺そうと殺せはししても無意味だなかったっただろうが、だろう、その身体の異常にだが不死身である事は気付けたはずには気付いたはずだ。だ。

 そうすれば何かそうすれば何は変わったかもかしらは変わしれないのに。っただろう。

 ―――――少なくとも少なくとも、私にとって彼女が一番私があの女の守るべき存在となる虜にされる事事はなかったはずだ。はなかった。

 自分の身体の秘自分の身体の秘密を知った人間密を知った人間は皆殺しにしろ、を皆殺しにしろ、そんな言葉で彼女とあの女を守ろうとしは命じた稀代の大泥棒がいた。れていた。

 それならきっと、ならきっと、敵対して相打ちし敵対してそてそれで和解してれで終わるいたのだろうか?はずだった。

 いや、いや、こんな事を考えてもありもしない可能性を意味など一つもない。考えても仕方がない。

 仕方のない事をくだらない事を考えている間も考えている間も炎炎はただ燃える。は燃え盛るだけ。

 その炎を見てその炎を見いるうちに、ていたら、何も考えられなだんだん意識がくなっていった。薄れていった。

 虚ろになった意識を遠く離れたど切り裂くように悲こかから声鳴が聞こえてきた。が聞こえる。

 まだ幼い子供甲高い耳障りのの声だった。悪い声だった。

 聞こえてきたのは声の主は目の目の色だけが彼色以外は自女と同じ色の自分分によく似たの娘の声だった。娘だった。

 何をやっている何をやっていと娘に叫ばれる。ると娘が喚く。

 珍しいほど取り乱初めは何をしているがどうか訳のわからしたのだろうか、ない事を、と思ったところと思ったがそこで気が付いで気付いた。た。

 右手が痛い、右手が熱い、まるで火に焼かれてい焼けるようなるような熱を感じた。激痛を感じた。

 というか燃えていた。というか焼けていた。

 何がどうしてそいつのうなったのか、間にか、暖炉に伸ばしすぎ自分の手が暖炉のた手が燃えていた。中で焼けていた。

 急いで右手を慌てて右手を引っ込めた、引っ込める、引っ込める直前引っ込める直前で全身に大量のでザバリと大き水がかけられた。な音が響いた。

 娘が咄嗟に水の魔術娘が水の魔術を自分にを使ったらしい、対して使ったらしい、右手の火は消えたおかげで全身ずがよほど慌てていぶ濡れになったたのだ上にろう、部屋の暖炉の火が半分が水浸しだ。消えていた。

 礼くらいは言っ文句の一つやておくべきなの二つ言っておくではと思ったが、べきなのだが、娘は取り乱したま娘は何か訳のわま何かを叫んからない事をだと思うと部屋から出いた後部屋かていってしまった。ら出ていった。

 水浸しの部屋を水浸しの部屋を見て苦笑した、見て溜息をつく、親らしい事など一後始末がつもしていないがとても面倒心配くらいはな事にしてもらえるらしい。りそうだ。

 赤く爛れた赤く爛れた右手を右手は酷動かそうとするく痛んだ。と激痛が走る。

 なんでこんな事を自分は一体してしまったの何をしてか理由はうっすいるのだら理解していた。ろうか。

 意味などないのだ。意味がわからない。

 しかし、しかし、この程度でもここの程度だとこのくんなに痛いのか。らいの痛みなのか。

 それなのに彼女はそれなのにあの女平然と笑うのか。は笑っているのか。


 血溜まりに手を浸す血溜まりに手を浸すとまだ暖かかった。とまだぬるかった。

 血溜まりに浮い血溜まりに浮いている左手は、ていた左手は、赤く濡れなが赤く汚れていたがらもまだ白い。それでもまだ白い。

 それを左手でそれを左手で拾い上げる、拾い上げる、ぬくもりの残るそれぬるくて少しは柔らかく小さい。柔らかい。

 手首から先を引自分で千き千切ったそれ切った左を握りしめる。手を弄ぶ。

 それを血溜まりの中それを血溜まにそっと浮かせて、りに放って、次は引き裂いた腹の今度は引き裂けた腹の中に手を差し込む。中に手をねじ込んだ。

 悍ましい感触に悲嫌な感覚に思わ鳴をあげかけた。ず顔をしかめた。

 まだ熱を持ちぶよ生温く柔らかいぶよと柔らかいそ臓物をぐちゃぐれをぐちゃぐちゃちゃに掻き回しに引き千切った。て引き千切る。

 ぶちり、ぶちり、ぶちりと音を立ぶちりと肉てて肉を切る、が切れる、溢れ出るものが何も入っていない臓ほとんど血だけな物から溢れ出すもののは救はほいだろう。とんど血だった。

 彼女の中から心臓血肉の中から心臓を引きずり出した、を引きずり出す、幾つかの血管が血管がぶちぶち切れて彼方此方にと切れてさらに血が飛び血が溢れ散った。てきた。

 血に塗れた彼女血だらけの赤の心臓を握り潰い心臓を握りそうとしたが、潰そうとして、手が震えてうま血で滑ってうまく潰せなかった。く潰れなかった。

 だから、だから、床に投げ床に思い切り叩きつけつけた。るように投げ捨てた。

 心臓は少しだけ心臓はべちゃりと形を変えたが、その形を歪めたが、完全に潰す事完全に潰れるはできなかった。事はなかった。

 地下牢の中地下牢の中を見渡すと、を見渡すと、いつもと変わらぬいつもと似地獄のような景たような景色しかなかった。色があった。

 今日はまず痛み今日はまが薄いように首ず首を切りを切り落として、落として、ほとんど死体と化しその後他のパーツをた胴体を解バラバラに解体した。体した。

 そんな事をして疲労するだけでも意味などない、意味など無い、頭が離れれば残りそれでもやらずにははただの肉塊だ。いられなかったのだ。

 この行為に意味この行為に意など一つもない、味などない、それでもまだ許す首を切れば残りがわけにはいかないどうなろうとあの女からそうしへの影響はなた。い。

 こうやって、そうやって、ただの肉塊と化したただの肉の塊でしか彼女の身体をないそれを刻んで、壊して、刻んで、壊して、刻んで。壊して。

 そうすれば、そうしていれば、この怒りも憎しみも多少の八つ消えた事にはなら当たりにはないだろうと信じて。なっていた。

 血の池の中に足元に落ち落ちている、ている、彼女の頭を片足あの女の頭にで踏み付ける。片足を乗せる。

 そして強化魔法をそして思い切使って踏み潰した。り踏み潰した。

 頭蓋が砕ける嫌頭蓋が割れるな音とともに、音とともに、卵の殻でも割るよ腐った卵の殻が砕うな呆気なさで彼けるようにあの女女の頭は砕けの頭は割れた。た。

 脳漿と血が足元脳漿と血が辺りに飛び散った、一帯に飛び散る、ああ、ああ、なんて悍ましい。なんて汚ならしい。

 ゴキリと頭蓋が砕けゴキリと潰れた感た感覚に乾いた笑い声覚にいつの間にかが止まらなくなった。大声で笑っていた。

 自分の笑い声その笑い声もが何故か遠い、どこか遠い、自分でも不快な笑い声狂ったような声だと客だったがしばらく止ま観的に思ったが止めるってく気はれそうにない。起きなかった。

 地獄の様な悪夢じみた現実にただ、現実にただ、狂う事しかできなか自ら狂った末ったのは自分だった。路がこれだ。

 この末路には後悔その末路に後悔以外の何物もない。など何一つない。

 だが、だから、もう止まただひたすらにる事は許あの女を殺し続されない。けるべきだろう。


 血の池には自分が血の池には細切れ切り刻み砕いた彼にしたあの女の肉女が浮かんでいる。が浮かんでいる。

 牢の中には悍まし辺り一面にい臭い以外の何も酷い臭いが充感じられなかった。満している。

 血と彼女の鉄と腐った様肉の臭い。な肉の臭いだ。

 切り刻んだ後に腐食の肉に腐食の魔術を掛魔術を掛けたせいで、けた影響もあって、涙が出てきそうなほ鼻が曲がるほど強ど酷い臭いだっ烈な臭いだった。た。

 それでもまそれでもまだ不十分だ。だ足りない。

 彼女でできた池に毒腐った血肉の池を混ぜる事にした。に毒を混ぜた。

 人間を溶かす薬品だ、人体を溶かす薬品だ、意識のある状態意識のある状の時によく使って態の時によくいたものの余り。使ってるもの。

 瓶の中身をひ瓶の中身をひっくり返す、っくり返して、半分以上残っていた全て池の中中身が池に混ざる。に混ぜる。

 変化は時間を置変化はすぐかずに起こった。に起こった。

 すでに小さな欠片に細切れになっていなっていた彼女はぐたあの女の肉がぐずずぐずと溶けていく。ぐずと溶けていく。

 元々原型をとどめて元々原形をとどめいなかった彼女は呆ていなかったもの気なく形を失った。が更に崩れていく。

 肉は既に溶肉は溶けてもうけきった、見当たらない、骨は未だ形を残し骨はいくつも残っているがじきに全ているがすでに半て溶けてなくなっ分以上溶けかけててしるもまうだろう。いのが大半だ。

 彼女が消える、肉も骨も溶ける、消えていく。溶けていく。

 一面の赤に同じ色一面の赤に同じ色でもこうも違うだからここまで不ものなのかと目を快なのだろうと目覆いたくなった。を逸らしかけた。

 それでも目は覆それでもそのわずに自分の悪光景からは目行を見つめた。を逸らさない。

 何度彼女を殺し何度この手を損なってしまっ血で汚したただろうか?だろうか?

 数える事す数え切らできない、れない、覚えていられもはや覚えてないほどだ。すらいない。

 ただ、ただ、あの日からあの日か彼女を痛めらあの女つけなかっの血を見た日が両手なかったでギリギリ日がほと数えられる程んどない度である事はは覚え覚えている。ている。

 これだけ殺しそのくらい殺しても未だに感続けていれば感覚覚は薄れない、は薄れていった、初めの方は衝動的初めの方は少に殺す事ができしだけ躊躇いたが今はただ苦痛あったが今なだけの作業だ。はもうない。

 何度殺して何度殺してもも殺せない、殺しきれず、一度きりで終われいつまばただそれだけででも終わ済んだはずだった。らない。

 まるで罰を受け本当は罰をている様だと思与えているう事もあった。はずだった。

 大切にしようとし騙さた女を殺そうとしれたた事に対する罰、報復、本当は何よ裏切られた復讐りも守りたをしているはずかっなのにた女を何故罰を殺し続ける受けているあのしかない事女は平然としては罰としていて心労が募るは十分すぎのは自分ばかりるだろう。なのだろうか。

 それでも、それでも、彼女を殺しき本当にるその日ま殺すそでこの手を止める事がの日までいあったのならつまでそれは最も殺しも罪深い事に続けてなるだろう。やる。


 華奢な銀色のナ細身のナイフイフを胸の中心を胸の中心にに突き刺した。突き刺した。

 それはいつもとそれはいつも変わらない意味のとさして変わらない作業だった。ぬ作業だった。

 赤い傷口から溢ナイフを刺した傷かれた血が白い胸ら一筋の血がゆっ元に流れていく。くりと流れていた。

 少し前までは不少し前までは気味に蠢いてい反射で蠢いた体はもう動きていた体はもを止めている。う動かない。

 もう一本、もう一本、華奢なナイフを握細身のナイフをり突き立てようと突き刺そうとししたところで、たところで、嫌な違和感を持っ違和感を持った。た。

 どこか様子がお何かがおかしい気がする、かしい、いつも通りの事しいつも通りかしていないのにのはずなのに何かがおか何かがしい。違う。

 少しの間、違和少しして違感の正体に気付和感の正体にかなかった。気付いた。

 心臓が止まった身体が動いままだった。ていない。

 それはおかしい、それはおかしい、頭を潰したわけ胸を一刺ししではないからこのた程度で心臓程度で心臓が止を止めるようまるわけがなな女ではない。い。

 見間違えだ見間違えだと信じて、と思って、その白い胸元その身体に手を置いた。に触れた。

 やはり心臓はやはり心臓が動動いていない、いていなかった、今更のように呼呼吸す吸もしていないらして事に気付いた。いない。

 どう考えてやはりおもおかしい、かしい、白い首は繋がっ首は切り落とたままで傷一つしていないないというのに。はずなのに。

 ふと嫌な予感がして、ふと思いたって、白い腕を切ナイフで腕をりつけた。切りつけた。

 この程度ならすぐこの程度ならすぐに治るはずなのだ、に治るはずだった、ほんの一瞬でそれこそ綺麗な状態に。数秒で。

 傷口からゆっく傷口からゆっくりと血が溢れて、りと血が流れて、止まらない。途切れない。

 傷が治らない。傷が塞がらない。

 思わず名を名を呼ん呼んでいた、でいた、分と久しぶり随分と口にしていなな気がした。かった忌々しい名を。

 彼女は何も答えあの女は何もてくれなかった。答えなかった。

 もう一度強めの口もう一度名調で名を呼んだ、を呼んだ、今度こそ聞こいい加減えるように。にしろ。

 返事はない。返答はない。

 体を揺さ体を思い切りぶった、揺さぶった、死んだふりはも死んだふりう終わりにしろ、は無駄だ、どうせ生きて生きていいるんだろう?るくせに。

 反応は一切帰反応は何ってこない。もない。

 ………………………………………………………………………………

 ………………………………嘘だ。死んだ?

 彼女はもう、あの女は、死んでいた。もう動かない。

 息をしていない、呼吸がない、心臓も止まっている、心臓も動いていない、傷が再生しない、傷も再生しない、身体から熱が身体が徐々に冷失われてたくなっていく。いく。

 嘘だ、死んだ、嘘だ、死んだ、嘘だ、死んだ、嘘だ。死んだ。

 何故、私が、死んだ?殺した。

 それを理解した直後、それを理解した直後、喉が張り裂けるよう喉が裂けるな痛みを感じるとような笑同時に狂ったようない声をあ笑い声が聞こえた。げていた。

 死んでいる、死んだ、死んでいる、死んだ、やっと殺す事やっと死んだ、ができたのに。やっと殺せた。

 ひどく混乱していた、ひどく愉快だった、やっと殺しきっやっと殺しきったたというのに、のだから当然だ、歓喜を感じながら達成感とも別の感歓喜情で全身で気が押しつぶされてが狂いそ気が狂いそうだ。うだ。

 しばらく笑い声がしばらく笑っ聞こえていたが、ていたが、固く閉じられたふと正気ままの彼女の目に返ってを見ていたら私は黙り聞こえなくなった。込んだ。

 本当に、本当に、彼女は死んでいた。何の反応もない。

 震える手で彼女の両手であの女の身身体を抱き上げる、体を抱き上げる、体温がない、冷たい、心音もない、息をしていない、ああ、ああ、本当に死本当に殺す事がんでいる。できたらしい。

 もう死んだのか、もう死んだのか、と声をかけるという問いかが当然反応があけに何も返っるはずもない。てこなかった。

 死んでいるのだから、死んでいるのだから、答えが返ってく反応があるるわけがない。わけがない。

 死んでいる?死んでいる? 本当に?嘘だろう?

 この程度でおこの程度で前が死ぬとはあの女が死ぬ考えられない。わけがない。

 抱いていた身体を抱えていた身体を床に叩きつけるよ床に叩きつけるように投げつけた。うに投げつけた。

 そしてその骨とそしてそ皮だけの白い身体の身体を踏を踏みにじった。みにじる。

 細い身体のあち身体のあちこらこちらがひしちがひしゃげゃげて折れ曲り、て折れ曲り、歪んでいた。歪む。

 本当は痛いくせに、痛いだろう?本当は苦しいくせに、苦しいだろう?悲鳴の一つでもあ呻き声のげてくれれば少しは一つでもあ救われるだろうに。げてみろ。

 その名を叫びながら白その身体をい身体を踏みにじる、踏みにじる、華奢な身体が歪細い身体がんで壊れていく。更に歪む。

 反応はなかった、それでも反応はない、声を上げるどころ声をあげるどかその身体は人形ころか身動きのように動かない。一つしない。

 ……………まだ、まだ、死んだふりを死んだふ続ける気なのりを続けだろうか?る気か?

 その思いつきにその態度に怒縋るとともに感りと苛立ちが情が溢れ出す。溢れてきた。

 感情のまま、感情のまま、彼女の身体に跨りあの女の身体に跨り白い肌に触れる。身体を乱暴に掴む。

 彼女は何よりお前はこれを泣もこの行為をくほど恐れてい恐れていた。たからなあ?

 だからだから目を覚ます目を覚まさずを得はずだった、なくなるだろう、そして泣きながそして泣きならやめてくれとがら懺悔の言懇願するだろう。葉を叫ぶのだ。

 もう冷めきっている少しだけ温いその肌を乱暴に触れても、肌を蹂躙しても、何も言わ何の反応も返なかった。ってこない。

 首を両手で首を絞締め付ける、める、縋るようにそのいい加減にし名を呼んでいたろと叫んだがが答えはない。答えはない。

 最後まで犯しても、最後まで犯しても、掠れた声すら悲鳴の一つどころかあげなかった。身動き一つしない。

 それならば。だったら。

 真っ白で薄い腹薄い腹をを引き裂いて、裂いて、その中を引っ内臓をぐちゃぐちゃ掻き回して引に引っ掻き回してき出した。引きずりだした。

 しかし反応それでも無反はない。応だった。

 ああおい……………どういう事だ?うした?

 お前はこれもお前はこれ心の底から恐も嫌いだっれていたのに。ただろう?

 泣きもしない、泣け、喚きもしない、喚け、恐れない恐れろ恐れない恐れろ恐れない。恐れろ。

 早く。何故だ。

 両手は血と内臓の血と内臓の欠片で赤で汚れていた、べったりと汚れたその手を握りしめて手であの女の彼女の身体を殴る。身体を殴った。

 名を叫んでも名前を返事はなく、叫ぶ、握りしめた拳で握りしめた拳何度も殴ってもで何度もあの女一向に治らない。の体を殴った。

 治れ、嘘だ、治れ、嘘だ、治れ、嘘だ、治れ、嘘だ、治れ、嘘だ、治れ。嘘だ。

 いつの間にか目の前いつの間にか目の前にには元の形がわかあったあの女の体はらない真っ赤な肉塊見るに耐えない真っ赤が存在していた。な肉塊になっていた。

 ……………これは、これは、何だったっけ?何だ?

 何ってそれは、何ってそれは、彼女に決まっている。あの女の死骸だ。

 治らない、元には戻らない、当然だ、当然だ、死んでいる死んでいるのだから治りのだから再生ようがない。しようがない。

 もう、もう、戻らあとは朽ちてない。いくだけだ。

 美しかった面元の面影は見影は消え失せ、て取れない、赤い肉塊となったこれはもうた彼女を呆然と見る。だの肉の塊だ。

 自分がこれを自分がここまやったのだ。で壊したのだ。

 ……………だが、そうだ、これは自分の望これが自分のみだったはずだ。望みだった。

 彼女を生の地獄あの女から解放する、を殺す、それだけのただそれだけの為に長い年月為に20年近くのを費やした。年月を費やした。

 その末路が目その末路の前の肉塊だ。がこれだ。

 全て私が願っ全部望みた事だった、通りだ、私の願いはや私の望みはこっと叶った。れで叶った。

 そう、そう、これでいいはこれでずなのだ。いい。

 私はお前を殺私はお前をしてやりたか殺したかっったのだから。たのだから。

 他の誰でもない、他の誰でもない、この私がお前望みこの私があの女のを叶えたかった。生を奪いたかった。

 願いは叶った、望みは叶った、お前は死んだ。私はあの女を殺した。

 私はお前を殺し私はあの女をてやりたかった。殺したかった。

 だが、だから、いなくなってほしいこれほどまでに感情わけではなかった。が高ぶっているのだ。


 彼女は、肉塊は、大昔からこの家に古くからこの家仕える毒花の悪魔に仕える使い魔の手によって、の手によって、屋敷の裏の暗屋敷の裏の言われなけく寂しれば気付かい場所ぬような暗に埋葬された。い場所に埋められた。

 埋葬された場所には石埋めた場所には石を積んだだけだった、が積まれただけだ、名前は刻むわけ名前も何にはいかない、もない、だがただそこに何かが埋そこに何葬されている事だかが埋めてけは示しておかなけある事を示すればならなかった。だけの墓標。

 結局、結局、この手の中には何殺す事ができただけも残らなかった。で名誉も何もない。

 なあ、なあ、知ってお前は知らないるか。かっただろう。

 誰にも気取られ貴様には気取ぬように必死られぬようにに隠しているつ必死に取り繕もりだったが、っていたが、私は昔、私は昔、本当は何よ心の底もお前の事ら貴様を護りたいとに騙され思っていた。ていた。

 本当は。本当に。

 本当は、本当に、本当は。本当に。

 いやいや……………やめもうどておこう。うでもいい。

 結局最後まで昔言結局最後まであのいたかった言葉を言葉を言わずに伝えられなかった、いてよかったと、ただそれだそう安堵してけの事だ。いるだけだ。

 元々、元々、初めから伝えるべ初めから伝えるき言葉ではないとつもりのない言葉思っていたから、ではあったから、何も変わ安堵以外のりはない。何もない。

 死ねて嬉しいか? 死ねて満足か? 少なくとも私はお少なくとも私前を殺す事がは貴様を殺せできて安心した。て清々した。

 私が生きて私が生きているうちに、いるうちに、私の手で殺して私の手で殺す事がやれたのだから。できたのだから。

 かつて護りたかったった一人の女た女を殺し続けるを殺すだけの日絶望は終わった。常は終わった。

 本当に、本当に、終わらせる終わ事ができた。った。

 彼女はいなくなあの女はもってしまった、ういない、私が彼女にし私がやるてやれる事べき事は一つも残っもなくなていない。った。

 ―――――最期に何の言葉最期に悲鳴の一つもも聞けずに殺して聞かずに殺してしましまった事だけった事は少しだけ惜は後悔している。しいと思っている。

 せめて、せめて、一言だけでも言あの女が泣き叫ぶ葉を交わしておような殺し方をしけばよかった。ておけばよかった。

 だが、だが、惜しんでいるの後悔はそれはそれだけだ。だけだ。

 殺してやりたか殺すべきった女は死に、女は死に、私はやっと望私はやっと復みを叶えた。讐を終えた。

 ―――――ならば、ならば、もう生きていもう生きている理由はない。る理由はない。

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