第4話2018年2月

 Wi-Fiを我が家に導入したことで習慣化したネットサーフィンの途中、フェイスブックにて、ある記事を見付けました。

 地元のホールにて、ファイナンシャル・プランナーなる人物がお金に関するセミナーを開くとのことでした。

 当時私は「正美~ネズミだった私~」を執筆していたこともあり、SNSを媒体にして紹介するなど怪しいと思っていました。

 ですが参加費無料ということ、怪しい世界を拒む手段を知ったことによる自信を理由に、思い切ってセミナー参加申し込みをしました。

 今では、この勇気を自賛しています。

 約十年間のもやもや感を解消できたのですから。


 セミナー当日、日曜日の午前十時にセミナー開始というのに、私は午前十一時半に目覚めてしまいました。

 完全に寝坊です。

 夜中三時まで仕事をしていたのですから、無理なスケジュールを組んだ私が悪いのですが、この状況でも、私は諦めることができませんでした。

 ある意味我儘な性格をしているのですが、夢を捨てきれないゆえです。

 お酒が完全に抜けきっていない体を無理矢理起こし、私は主催ファイナンシャル・プランナーの会社に電話しました。

 遅刻して難ではあるが、どうにかしてセミナーに参加できないか、と。

 すると窓口担当の方は事情を受け入れ、お待ちしておりますというお言葉をくださりました。

 私はお礼を述べて、三十分で着替え、バスでの移動を済ませ、息を切らせて会場に入りました。

 余談ですが、すっぴんです。

 毛穴の汚れ、薄い眉のお披露目でした。女性として非常に恥ずかしいことなのですが、将来の夢にはかないませんでした。

 会場に着くと、男性スタッフが目尻に皺を寄せてにこやかにお出迎えしてくださいました。

 「お仕事、遅くまでお疲れさまです」

 このような温かいお言葉まで頂いたのです。

 私は彼の姿勢から、何としてもセミナーを成功させたいという強い気持ちを感じました。

 これほど熱い方を拝見したのは、久しぶりです。

 さて、セミナー室に入ると、やはり途中参加ということもあり、内容が非常に濃く親しみやすさよりもインパクトを感じました。

 頂いたパンフレットを基にどうにかセミナーの内容を把握しましたが、やはり高い意識でお金のことを考えなければ、という思いにさせられました。

 このとき私の耳に届いたのは、米ドルの価値というものでした。

 簡単に申し上げると、米ドルは世界共通の価値のある通貨であるということです。

 ですから、銀行や株の世界でよく出てくる外資系なんとかというものが世間に浸透しつつあるのも頷けます。

 ですが、今の私にはほど遠い世界です。なぜなら、前職の薄給が引き金となった毎月の生活費のやりくりで精一杯だったからです。

 これでは、夢、将来、世界の価値うんぬんどころではありません。

 まずは、己の家計の見直しから始めようと、私はセミナー終了直後、無料の個別相談を申し込みました。

 翌日夕方五時、スナックの勤務前です。

 ちなみに、セミナーでは無料でフルーツケーキとコーヒーが付いていました。


 さて当日、私は同世代と思われる男性ファイナンシャル・プランナーに家計の見直しを手伝っていただくことになりました。

 簡潔にまとめると、私は変動支出が大きく、また奨学金返済などの公共機関への支払いで家計を圧迫していることが分かりました。

 三大キャリアのスマートフォン、タブレットを使用していることも大きな要因の一つです。

 まずは家計簿の付け方を変え、彼のアドバイスを基にお金の流れを把握しました。

 詳細は次話にて公開します。

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