目指せ! 円ドル~ファンはお金ですファイナンシャル・プランナー~

加藤ゆうき

はじまり 2006年

 加藤ゆうきです。

 初めましての方も、普段より交流いただいている方も、この作品を開いてくださり、ありがとうございます。

 これまで多く語らなかった……はずの私自身について、日記という形でご紹介しましょう。

 それでは、よろしくお願いいたします。


 2006年3月、私は長崎県の私立高校を卒業しました。

 いや、卒業させていただきました。

 後に知ることになるのですが、高校二年からの二年間の授業料が未納になっていて、高校を中退するか、卒業を先延ばしにするかという選択を迫られました。

 結果として、私は長崎県と母子家庭の奨学金にて学費を納付し、卒業式前日に卒業が正式に決まりました。

 これで、晴れて私は高卒というブランドを得るのですが、同時に普通科に進学したことを激しく後悔します。

 では、なぜ私は私立高校の普通科に進学したのでしょう。

 拙作「お金でワクワク! ゆうき流」でも触れておりますが、私は薬剤師になりたかったのです。

 そして将来、理系に進んでも英語は社会人として大きな武器になると思い、英語科も併設している、英語教育と海外留学に力を入れた高校に進学しました。

 恩師のおかげで学力は中学時代と比べて格段に上がり、海外留学を経験していなくてもネイティブとして英会話が仕事に活かされています。

 数学は全国模試の偏差値七十はキープしていましたし、英語に関しては、一度だけ長崎県一位、全国九位という成績を収めていました。

 もちろん、卒業試験は現代文でしくじったものの、学年二位の成績で学生生活を締め括りました。

 それでも、高校を卒業できなかったかもしれないのです。

 今では、高校まで行かせてもらったことに感謝していますが、卒業直後の一年間は精神的に追い込まれていました。

 それもそのはず、私が在籍していたクラスは普通科の中でも厳しい、理系コースだったので、私以外の生徒全員が大学もしくは医療系専門学校に進学したのですから。

 まだ若かったので、ふてくされていました。

 今だからこそこうしてお話しできますが、私は夢を捨てる代わりに、恥を知りました。


 私は、学校のお勉強で精一杯で、生きていくためのお金の勉強は一切していなかったのだと。


 これでは、大学進学どころか、高校卒業が危うくても無理もありませんよね。

 ですから、私は卒業から一年かけて新たな夢を見付けました。


 お金のプロとして、中高生を対象にお金の授業をすることです。


 今後、学力が経済力に負けて大学進学、夢を諦めざるを得ない学生は増えていくでしょう。

 彼らが泣き寝入りせずに済むよう、私が力になりたいのです。

 一つの知識として。


 それでも、当時の私は、具体的に何をすれば良いのか分かりませんでした。


 この日から十二年間、私は足掻いて生きていきます。

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