第32話 アンダーゲート要塞奪還作戦

 くさなぎの剣を入手したスピーディ一行は、魔王討伐のため次の作戦を思案する。


「武器も揃ったしアンダーゲート要塞を取り返す必要がありそうね。あれが敵の手中にある限り、いつ、どこに攻め込まれるかわからなくておちおち寝ていられないわ」


 前回はワイドアイランドへと攻めてきたが、次はリーブクラウドへ攻めてきてもおかしくない状況だ。


 仮に防衛だけ考えたとしても、防衛戦力を分散配置できるほどの余裕はない。

アンダーゲート要塞を支配した方がかなり有利になるのは間違いない。

つまり、要塞を奪還することで人族有利に戦局を大きく変えられそうだ。


 ちなみに、現状のマヤのステータスを確認しておこう。


 ――――――――――

 名前 : マヤ

 性別 : 女

 年齢 : 16

 LV : 41

 HP : 175

 MP : 133

 攻撃 : 157 (57+100)

 防御 : 147 (42+50+20+35)

 素早さ: 120


 スキル: ステータス、カミカゼ(Lv10)、解錠(Lv10)

 知名度: Bランク


 武器 : くさなぎの剣 (+100)

 防具 : ミスリルの鎧+2 (+50)

 頭  : ミスリルの兜 (+20)

 盾  : ミスリルの盾+1 (+35)

 ――――――――――


 転生からおよそ一年が経過して、マヤは 16才となった。


 この短期間でLV41 というのは奇跡的な成長ペースなのだが、マヤが目標に定めた 2年以内の魔王討伐を考えるとあまり余裕はない。

相手から出てくるのを待つのではなく、こちら側から魔族へ仕掛けていかないと目標達成は難しそうだ。


 そして、スピーディの他の仲間達も順調にレベルアップしている。

もともと勇者ダンの従者であり優秀なところへその後の活躍もあり、LV、知名度共にかなりの域に達したようだ。


 魔王城への侵攻計画ならば若干心許ない部分も残るが、それ以外の状況ならば後れを取る可能性は低い。


 エミリー    : Aランク/LV45 騎士

 フランソワーズ : Aランク/LV46 賢者

 ガーネット   : Aランク/LV47 魔導士


 この際、若干のリスクは許容してもらい魔族側へ侵攻をかけることでパーティ全員の同意を得た。


「せやけど、アンダーゲート要塞は魔族による要塞化で、えろう固いって噂やで」


 外部からの直接の出入りは一切禁止されており、こちらからアクセス可能なのは非武装地帯DeMiliterized Zoneのみだ。


 DMZへのアクセスについても、正常なものを含めすべての記録を手動で残す運用が行われている。


 話を聞く限り、抜け道はなくDMZから要塞内に入り込むことはまず無理だろう。


 空中や壁面から正攻法で攻撃を掛けることも検討したが、空中に関しては魔力の強い魔族によって対空魔法を使われると非常に分が悪い。


 もともと、魔族に対抗するため用意した要塞を再利用されているのだ。空中から要塞への攻撃はかなり不利になるよう設計されている。


 そして、壁面を破壊して要塞内へ侵入するのもナンセンスだ。おかしな挙動は逐次監視されており、破壊工作をしている間に集中攻撃を食らってしまう。


 破壊工作と防御を並行で行うために必要な大軍などがいれば話は変わってくるが、スピーディ一行+α程度であれば魔族の攻撃によって蹂躙されてしまうだろう。


 そして、仮に要塞内に侵入することに成功したとしても、要塞内には四天王のうち二人であるナイフ、カールが控えている。

作戦もなしに彼らと対峙するのは避けたいところだ。


「強固なファイアウォールの攻略方法よね…かなり頭をつかうことになりそうな感じがするわね。さらに、四天王もどうにかしないといけないのよね」


 スピーディ一行は、まずはアンダーゲート要塞の挙動、運用について情報収集を進めるため要塞近辺まで進軍することとした。

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