ギルド所属Aランク魔法使い 講師になる。
@888888
第1話 魔術師の日常
ギルドのカウンターに今回の討伐対象の牙を見せる。
受付嬢は牙を確認すると、一度奥に戻ると報酬が入っているであろう袋を持ってきた。
「火嵐様、此方が今回のレッドリザード討伐報酬の6000ガルドになります。討伐したモンスターの素材は此方で買い取りますか?」
報酬を渡す時に私の後ろに浮いているレッドリザードの死体に気付いたのだろう。素材の買取を聞いてくる。
「いや、全部持って変えるよ。状態が良くてね、色々と試したいこともあるから。」
報酬を受け取りながら、返答を返す。今回討伐したレッドリザードは窒息死させたので無傷の状態だ。
余り大きな個体ではないが、一応竜種の新鮮な死体だ。魔術師として、捨てるところはない。
「畏まりました。ではまた宜しくお願いしますね。あっ、そういえば最近王立学院の馬車がこの街にやって来たみたいですよ。」
「素材の買取に来たのかな?珍しい素材が手に入ったとは聞いてないけど。ありがとう気にしとくよ。」
私が卒業生だからか、教えてくれたが心当たりはない。一応頭の片隅に覚えてギルドから立ち去る。
帰り際に卵が無いことを思いだし、近くの商店で購入し、街の中心から少し離れた家へと向かう。
道中、私の後ろを浮いているレッドリザードに目を丸くする街の人々に笑みが漏れる。驚いて貰えて何よりだ。
家は庭付きの小さな家だ。中に入り、蝋燭に明かりを着ける。レッドリザードと報酬を地下室に送り、夕食の準備に取りかかる。
コンロを真似た魔方陣に魔力を送り火を着ける。フライパンを暖めて卵を一つとベーコンを落とし、しばらくしたら水を差して蓋をする。
蒸してる間にパンを二枚切り出し皿のせる。
フライパンのフタを開け、中身をそのままパンの上に乗せる。これで今日の夕食は完成だ。
リビングに夕食を持っていき食事を開始する。
食事をしながらレッドリザード討伐で使用した魔法について考えた。
(今回試した魔術は上手くいった。スペルは短いが真空にするまでの時間がかかるのが欠点か。)
今回の討伐はレッドリザード一体で本来ならC級の依頼だが、新作魔法を試したいので依頼を受けた。
名前はまだつけていないが、簡単にいってしまえば[空気を抜く魔法]だ。指定した範囲の空気を抜き真空を作り出す。
レッドリザードの口と鼻先を覆うように真空を作り出し窒息させたのだ。おかげで綺麗な状態でレッドリザードが手に入った。
食事も終わり地下室へ向かう。地下室の明かりを付けると中央の作業台のレッドリザードのが照らされる。二メートルと小さな個体だが解剖はしやすいため問題ない。
私はレッドリザードの横を通り、奥の部屋へと向かう。
奥の部屋は書斎であり、机の上の羊用紙に今日試した新作魔法の効果と魔方陣を書き込む。新作魔法の名前は夕食を片付ける時に考えた。[風の簒奪]だ。向こうなら恥ずかしいが直接的な名前は良くないのが魔術師のルールだ。
新作魔術を書き込んだ羊用紙を本棚にある魔術書に挟み込む。羊用紙は馴染むように魔法書の新たなページとなった。
魔法の保存もすんだので、作業台へと戻り、レッドリザードの解体を始めた。
解体の方法は魚と一緒だ。
頭を落として、肛門から首の辺りまで開き中の内臓を取り出す。この時血を集めておく。消化器官は不要だが、肝は薬に火袋は研究に使うので保存液に浸けてとっておく。胴体で後必要になるのは骨と腹の肉だけなので、腹の肉を肋毎切り取った後の残りは庭のマンイーターの消化液で肉を溶かす。これは明日の朝やろう。
頭は目をくり出し保存し、残りは胴体と一緒に消化液に放り込んで牙と頭蓋骨を取り出す。
保存液に浸けた素材を棚に置き、庭に持っていく物は袋に皮袋に纏める。
皮はマントと手袋に加工しして商業ギルドに買い取ってもらおう。
基本的に私の1日はこんな感じで過ぎていく、魔術研究をして、空いた時間に冒険者。
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