第2話
私にはお金かあまり、ありませんでした。
でも、それは決して苦ではありませんでした。
その時の私には夫がいて、アパートの一室を借りて慎ましくも幸せに暮らしてました。
そんな、ある日。私は子を身ごもりました。
子ができたことには単純に嬉しかった。だが、もし子が生まれてしまったらどうなるか、それは私にも分かってました。
このことを夫に話したら、夫も一瞬喜んだもののすぐ暗い顔になりました。
私達二人が暮らすにはなんとか足りていたものの、さらにもう一人加わる。しかも、子の面倒を見るために私は仕事を休まなければならない。
こうなったらもう無理だ。
このまま、家族三人で路頭に迷うことはあきらかだった。
お金がない。この事実がこの時ほど私を苦しめたことはありません。
その話をした数日後に夫はあるものを持って帰ってきました。
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