第5話~決闘~

「で、この騒ぎをどうするかだが」

健太がそんなことを言ってくる

なんだ簡単なことじゃないか

「少女が何とか説得したり、

なにかしら、言えばいいのではないのか」

「少女という呼び方はやめてくれ

リーナでいい、で、残念ながらそれは無理だ」

「無理?」

俺は首をかしげる

言えば万事解決ではないのか?

「ここに来る途中に実はな・・・」


◇◇◇◇


「父上が何を言ったか知らないが

これは誤解だこのような真似はやめてくれ」

「何を言いますリーナ様、そやつを庇う

つもりですか」

「そんなつもりはない!」

「我々の中にも目撃者がおりますリーナ様が

なぜ庇っているかは知りませんが

目撃者がいる以上そやつは捨て置けません」



◇◇◇◇


「というわけだ」

まじかよ・・・・・・

目撃者いるならかなりまずいじゃないか

目撃者がいる以上おそらく集団は止まらない

集団とはなんとも恐ろしものか


「じゃあこんなのはどうかな?」

健太が手のひらをポンと叩いて

閃いたと言わんばかりのそぶりを見せた


「何か名案でもあるのか?」


「リーナと俊太で決闘だよ」


「え?」

リーナは何言ってんだと、言わんばかりの

あきれ顔である、俺も同じ

唐突に出た意味不明提案に

言葉を失っていた


「えー山田健太といったか今は

ふざけている場合ではないのだが」


「ふざけているわけじゃないよ」


「ではなぜこんな提案などしたんだ」

そうすると健太は真剣な表情をして

口をゆっくりと開いた


「集団心理は高すぎると、衝動的で

とても個人ではやらないような

理性にかけた判断をすることがあるんだ

今起こっているのがその状態だよ」


「でもなんで決闘なんだよ」

それでもなお、決闘する意味が分からない

決闘したらなにが解決するというか


「いまは判断力も思考力も低下した状態で

いとも簡単に他人に流される

そんな時こうやればいいんだ」



◇◇◇◇


「私は実に慈悲深いこの不逞の輩に

チャンスを与える・・・

私はこの不逞の輩に決闘を申し立てる!

こ奴が勝てば無罪放免、負ければ

この町から追放する!」


「おおおおおお命を取らないとなんて慈悲深い!

そこにしびれるあこがれる!!やれー!

リーナ様!!こんな奴にまけるわけない!」


◇◇◇◇


「みたいな感じ盛り上げて集団心理を

動かしてあげれば何とかなるはずさ」


なるのか?なんかうまくい具合に

流された気がするけど・・・


「その提案乗った!」

リーナが嬉々として手をあげて

健太の意見に賛同した

なんでそんなうれしそうなんだ?



◇◇◇◇



「「やれー!!!やっちまえええええ」」

なんか知らんが何とかなった

俺は町の広場で決闘をすり羽目になっていた

既に数千近い群衆が集まっていおれい

ボルテージは最高潮である

中には賭けをする人たちまで現れていた

「準備はいい?」

審判は健太準備なんかできているわけないが

戦うしかない、ここで逃げたら本当に

死にそうだし、第一逃げられない

俺は刀を構え、準備を完了させる


「では始めるよ!」

やるしかない俺は覚悟を決めた

「「いざ尋常に勝負!」」



勝負は自分の障壁が壊されるまでというもの

障壁とは自分の身体包む魔力のバリアーみたい

ものらしい障壁さえ壊されなければ

多少の痛みはあれど、切られても失血はせず

殴られても痣にもならないし骨も折れない



「いくぞおおおお!」

リーナ一気に間合いを詰めてくる。

それからリーナは次々と突きを繰り出す

リーナの武器はロングソードである。

構造は突きに向いた形をしており

突き重視のリーナにはぴったりであろう


しかしなんて早い突きだろうか、それに

なんとも綺麗で正確な突きだろうか

正確に体のウイークポイントをついてくる


「くそ!」

俺はたまらず後ろに飛び、間合いを取る

しかしこの世界に来て思ったが

元の世界じゃ考えられない

身体能力だ、世界記録なんか目じゃないな


俺は剣先を相手の目に向けて構えた

いわゆる中段の構えである。

この構えは他の構えにもすぐ移行できるため

攻防ともに優れた構えといえるだろう。


さあどう来るかな西洋剣術とは

対峙したことないからな。


しかしここから膠着が始まった。


「どうした!坊主!早く動け!俺はお前に

1000ゴールドもかけてんだぞ!ぶっ殺すぞ!」


いかついおっさんが俺にヤジを

投げかけてくる。

しかし1000ゴールドとは中々・・・

おそらく円換算だと10万強ぐらいするんじゃないか?


「そうだな・・・私から行かせてもらおう

くらえ!烈風斬!」

突然リーナは間合いの外から大きく

刀の振りかぶる、その瞬間

剣から剣圧が形となって放たれる


そうかここは異世界、剣術でもこんな

遠距離攻撃があるのか


「ふん、こんなもの!」

俺はその剣圧を刀で切りつける

俺の一太刀で剣圧は消滅した


「なかなかやるじゃない」

(よもや一太刀とは恐ろしい奴だ)



しかしこの世界がゲームと同じとすると

俺にも似たことができるはずだ


「よし俺の技もくらえ烈風斬!」

俺も同じよう烈風斬を繰り出す

刀から剣圧がはなたれリーナの

剣を直撃する


「くうううううううう!?」

俺の時とは違いリーナは剣圧を

消滅させることができない

じりじりとリーナは後ろに後退する


「ばかな?!リーナ様が押されているだと?

同じ烈風斬のはずなのに?」

群衆がざわつきだす


「技の質の違いだ、彼とリーナでは同じ烈風斬

でも雲泥の差がある」


フードの男が当然現れて群衆に説明していた

「じゃあこのままリーナ様は負けてしまうのですか?」

すると男は、にかっと笑った


「ふん、うちの子はあの程度ではないよ」

「うちの子?」

「こほん!いや失礼リーナ様はまだ奥の手を残しておる」



「うおおおおおおお!!はあああ!」

かなり後退しながらも踏みとどまり

ようやくリーナは剣圧を斬り伏せることができた


「やるじゃないか」

俺はリーナに余裕の笑みを見せて

そう言い放った


「ハアハア、予想以上じゃないか・・・

私の奥の手を見せてやろう」


「ふん!どんな技でも斬り倒すのみ」

俺は再び中段構えを取った


「いくぞ!!」



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