プロローグ4~仮想と現実~

ユリスガーデン雪原


見ての通りのただのだだっ広い雪原である

無論最初の町の近くのダンジョンであるため

敵は貧弱で負けることはまずはないであろう

俺たちはアイテム屋で買い物とか一切やってないが

きっと大丈夫のはずだと自分を言い聞かせる


「俊太、そいえばさっき拾った紙って何だったの?」

「よくは見てないけどたぶんこの辺のダンジョン情報みたいだな」

と言いながら俺は健太にその紙を渡す。

健太はその紙をまじまじと見つめる


「おお!この辺の敵の情報とかが載っているね。」

「で?健太、どんな敵がいるんだ?」

「ええっと・・・一番多いのはジャック・オ・フロスト

とかいう雪と氷の妖精みたいだね。」

「で、そのジャックとやらは強いのか?どんな姿しているんだ?」

「まあそれは実際に、自分の目で見たほう早いんじゃないかな」

「は?それはどういう・・・」


健太は向こう側を指差す、そこには――

雪だるまの姿をした2足歩行のかわいらしい生き物?が2体いた


「あれがジャック・オ・フロストだよ」

「え・・・・あんなマスコット的やつが敵なのかよ・・・

なんか安心拍子抜けだなージャックとかいうんだから

もっと強そうなのを想像してたんだがな。」

「まあ最初の敵だしね、ただ・・・」

「ただ?」

「なんか心が痛まないかい?」

「はあ?痛む?まさかマスコットぽい姿

しているからか?あくまでゲームだし

それにあれは敵だぞ敵なら倒さないと何も始まらないぞ?」

「それもそうだね・・・」


やはり健太は心優しいと改めて思った

まあ確かに健太の言う通り少しやりにくい

感じはあるけれど・・・・

そんな会話をしていると――


「ニンゲンコロスニンゲンコロス」といいながら

殺気を纏いながら俺たちに迫ってきた!

「全然マスコットぽくないじゃん!人間殺す

とかいってるよ!」

前言撤回、全然やりにくくねーは容赦なく殺せる感じがするは


「よし、健太!戦闘準備だ。」

「うんやるしかない!」


さっきの戸惑っていた様子とは違いやる気満々である

俺たちは武器を取り出すが、そこで俺はある疑問のことを思い出す

(黒刺刀とグングニルね・・・なんか起こらなければいいけど)

俺は腰の黒刺刀を抜き去り、迫ってきたジャック・オ・フロスト

を横一文字で切りつけた


「よしもう一撃・・・」


と、切りつけようとするがあっさりと消滅してしまう

「え・・終わり?」俺がしばらく唖然としていると

もう一体のジャック・オ・フロストが健太に襲い掛かった

「やあ!!」と健太の声とともに諸手突きが繰り出される

この突きが見事に胴体部分に命中する

俺と同じく健太ももう一撃繰り出そうとするがやはり

ジャック・オ・フロストは消滅してしまう。


「なあ俊太よわすぎないか?いくら最初の敵といってもこれは・・・」

「だよな・・これははおかしいよな」

俺たちは頭を傾げる。そうしていると・・・・


町のほうに巨大な黒い球体状なものが見えた

「なんだよあれは・・」

その球体は徐々に大きくなっていき

次第にあたりを飲み込んでいった。

「健太なんかやべーぞ、とりあえず離れるぞ」

「俊太あれなんだよ!」

「俺が知るわけないだろ!」

俺たちは全速力で走ったが、明らかに黒い球体の接近速度のほうが早い

「やべーぞマジやべーぞ!」

「間に合わない!」


健闘むなしく俺たちはその球体に吸い込まれてしまったのだった・・・・






――「世界を救ってください」


夢と全く同じ声がした

「俺より相応しいやつがいるだろ?」

俺は夢と同じ問いかけをしてみた

「あなたは選ばれたのです」

朝の夢と違い返答が帰ってくる

「なんで俺が選ばれたんだ?」

・・・・・・・・・・

今度は返答はない

「なんか答えろよ!」

すると突然、光のようなものに俺は包まれる

「なんだ・・・いったい・・・」――――





――――――俺はゆっくりっと目を開ける

「ここは・・・・・?」

俺は起き上がり辺りを見回す。

――雪原・・・そう、だたのだっだ広い雪原だ

遠くを見れば俺たちがキャラメイクした町も見える

俺は飲み込まれた場所からほとんど移動していなかった。

「なんなんだよ、さっきのは・・・」

それよりも健太が見当たらない、いったいどこに行ったんだろうか?

俺は探しに行くために歩き出そうと一歩踏み込んだところ・・・

「痛って!!」

健太らしき声がしたので俺はそこに踏みとどまり

「どこにいるんだー健太ーー」

と叫んでみた

「下だよ!下!真下!」

下?と思いつつ俺は下を見てみることにした。すると――


いた・・・健太らしき物質が・・・


「おい健太・・俺の下で何してるんだ?

まさかお前・・・Mなのか?ドmなのか?」

「ちげーーーよ!お前が踏んできたんだろうーーーが!」

「あ?そうなの悪い悪い」

といいながら俺は健太から降りる

「まったく・・・」

健太は服の雪を払いながら起き上がる


「そういえば気を失っている時変な夢見たんだ」

俺はまさかと思いながらも言ってみる

「『世界を救ってください』とか言ってくる夢だろ」

「そうそう・・・・ってなんでわかるんだよ」

健太が不思議そうな顔をする

「俺も見たんだよその夢」

「まじかよ・・・・」


俺もまじかよと言いたい、まさか本当に同じ夢の内容だったとは思いもしなかった

さっきから起こる怒涛の出来事に俺は困惑した


「しかしすごく寒いな凍えそうだよ」

健太はかなり寒そうにして体を丸める

「そうだなぁくそ・・・寒い・・・???」

(寒い?いや寒いのはわかるんだよ、しかしながら

なぜこれほど寒いんだ?ゲームがこれほど寒いわけがないんだ)


「どうしたんだ俊太?」

「いや、健太おかしいとは思わないか?この寒さ」

「なにが?確かに寒いけどさ」

「寒すぎるとは思わない?気を失う前と比べてさ」

「あ・・そういえば」

「それにさ体の感覚が『本物』すぎるんだよ

本物ようなとかそんなレベルじゃない

言うなれば・・・ここは現実世界だったりして・・」

健太は俺を小ばかにしたように指をさして笑う

「アハハ!え?じゃあさ俺たちはさ異世界転移でもしたってのかよ???」

俺は少しムッとしたが一旦深呼吸して落ち着く

「まあ一旦町に戻ってみようぜ話はそれからだ」

「ああそうだね、そうしたほうがいいね」


俺たちは一旦町に戻ることにした

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