全力で『角川武蔵野文学賞』に参戦中なのです

「え、書かねぇし。だって賞金でないじゃん」

 たしか、こんな感じだったと思う。ウェブラジオ『はやく文豪になりたい!』の放送終わりに、キタハラ先生から角川武蔵野文学賞への応募を問われたときの返答。

 でもその後、反省したのですよ。武蔵野の地に五年も住んでおきながら、武蔵野をテーマにした賞に参加しないとはどういうことなのかと。

 考え直して一念発起して……というほど大げさなものではないのだけれど、ちょっとした武蔵野への恩返しのつもりで執筆することにしたのでありました。


 現在、二作を応募中です。

 応募締切が八月五日、ランキングあるから応援(読んだり、♡押したり、☆押したり)をよろしくお願いします!


◇『創生の巌 ~ 武蔵野今昔がたり』無辺の萱原、深緑の林、武蔵野の明媚はどこへ。今と昔そしてこれからの物語

https://kakuyomu.jp/works/1177354054917932828/episodes/1177354054917932969


◇『武蔵野サイクリング』十キロの直線道路をひた走る。美人上司がいざなうツーリングの目的とは!?


 土地がテーマの文学賞って、何を書けば良いかすごく迷うよね。その土地を舞台にすればそれでテーマを消化したことになるのかといえば……それでは一歩たりない気がするし。

 やっぱりその土地が持っている歴史や風土、風俗みたいなものを盛り込んでいきたいよね。でも、規定は八百から四千文字だし、そんなに盛り込めねぇぞ、どうすんだこれ……って感じ。


 とりあえず、武蔵野の成り立ちを勉強するところから始めた。

 武蔵野台地は多摩川に育まれた扇状地だということ、その上に火山灰が降り積もったローム層が厚く続いていること……そんな小中学校の社会科で習うようなことまで、改めて学びましたとも。

 地質の特性上、水に乏しく人の住めるような場所ではなかったこと、それでも水辺には人が住んでいたこと、平安の頃より広大なススキ野原に昇る月が讃えられてきたこと、江戸中期以降は人の手が入り雑木林の里となったこと、そして今はご存知の通り、広大なベッドタウンとなっていること等など……。


 多くの方にとって「武蔵野は林」というイメージのようだけど、歴史の長さから考えると十対二くらいの点差で「武蔵野はススキ野原」ってことになる。

 しかしまぁ、今は失われつつあるものと、今は失われてしまったものの戦いではあるのだけれど……。


 俺の中では、「武蔵野は水」というイメージができあがった。

 ススキしか生えない不毛の地を、作物を育てられる土地に、そして人の住める土地に開拓していった先人たちの創意工夫が心に残った。


 さて、風俗、文化に目を向けてみれば、武蔵野にはデエダラボッチの伝承がたくさん残っているようで、しかもその多くは水と結びついていた。デエダラボッチの足跡が池になった、井戸になった……というやつだ。

 デエダラボッチの『ボッチ』とは『法師』のことで、呼び習わされた名から考えれば僧侶的な存在ってことになってしまうのだけれど、俺的にはデエダラボッチは土着の神様なのではないかと思っている。

 他にも土着神がいらっしゃらないかと見まわしてみれば、武蔵野には石神井しゃくじいという所があり、この『石神』と書いて『しゃくじ』と読む土地は、往々にして土着神であるところの『ミシャグジ様』と関わりが深い。そう思って調べてみれば、この地の池より石剣が出てミシャグジ様の御神体として神社に祀られているのだとか……。


 そんな風にして一ヶ月以上にわたり培ってきたイメージを、形にしたものが先に紹介した二作の小説だ。

 自己満足ではあるのだけれど、よく書けていると思っている。まったく雰囲気の違う二作ではあるのだけれど、どちらにも武蔵野への愛を詰め込んだ。


 惜しむらくは、四千文字という文字数の制限のため、書きたいことを大きく削らなければならなかったこと。いや、削ったぶん切れ味が増したと考えれば、そう悪いことではないのだけれど。


 書くことすらあきらめた題材も在る。

 青梅おうめの地にも、魅力的な題材が多い。まず、地名の由来からして、平将門が関わっていて興味深い。この地には雪女の伝承があり、小泉八雲が小説として『怪談』に収録していることは周知のとおりだ。

 戦時中の武蔵野は、九回にわたり激しい空襲を受けている。標的となったのは、ゼロ戦のエンジンを生産していた中島飛行機武蔵製作所と、その周辺工場だった。

 将門公のことも、雪女のことも、空爆の歴史も、書きたいとは思いつつ今回は形にすることができなかった。機会があれば、いずれまた……。


 ほんと、武蔵野ってところは、知れば知るほどに興味深い……。

 いやきっと武蔵野だけじゃなくて、日本中どこにだってその土地の記憶があり、歴史が刻まれているはずだ。自分の住んでいる土地の由来を学ぶだけでも、少しだけ心豊かに暮らしていける……そんな気がするよ。


 とまぁ、綺麗にまとまったところで、最後にもう一度宣伝をさせておくれ。角川武蔵野文学賞の参加作、ぜひ応援(読んだり、♡押したり、☆押したり)をよろしくお願いします!


◇『創生の巌 ~ 武蔵野今昔がたり』無辺の萱原、深緑の林、武蔵野の明媚はどこへ。今と昔そしてこれからの物語

https://kakuyomu.jp/works/1177354054917932828/episodes/1177354054917932969


◇『武蔵野サイクリング』十キロの直線道路をひた走る。美人上司がいざなうツーリングの目的とは!?

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