『何を書くか』に効く書籍 ~ 何を書くかどう書くか

 ここんとこアクアリウムに逃避して、まるで小説を書いてない……などという状況は、ワタシのツイッターアカウントをフォローしている方ならよくご存知のはず。ほんと、水草とか、熱帯魚の話しかしていない。

 そしてやっとアクア沼から這い出して、ちょっとだけテラリウム沼の様子を見てみようと歩いていたら、誤って多肉植物沼に落ちてしまうという体たらく。園芸関係の沼も、底なしに深い……。


 忙しい時期が続いたから、心が癒やしを必要としているのですよ……知らんけど。


 ちなみに関西人がよく会話の最後につける、『知らんけど』には気をつけた方が良い。関西人は得てして、面白さを優先するがあまり話を盛る。「あ、いまのちょっと盛りすぎちゃったかな」と若干の罪悪感に胸が傷んだとき、その痛みを取り除いてくれる特効薬が『知らんけど』。それまでの発言に関する一切の責任を放棄する事ができる、マジックワードなのですよ……知らんけど。


 水草水槽を一本立ち上げたし、テラリウム水槽も未完成ながら立ち上げたし、アクアリウム関係も気が済んできた感がある。だから、そろそろ執筆を再開したいところ。再開にあたってやはりぶち当たるのは、『なにを書くか』という問題。


 小説を書くにあたって、大きく二つの問題が在るのではないかと思う。『なにを書くか』と『どう書くか』という問題。

 『どう書くか』つまり技法や作法の類はたくさんの解説書が在るし、また基本さえ押さえておけば経験で伸びていく部分ではないかと思う。


 問題は、『何を書くか』という事。

 「書きたい事があるから、小説を書いてるんじゃないの?」というご指摘は、ごもっとも。書きたいことは数あれど、その中から何を書くのかっていうのはワタシ的にはけっこう悩む。そして書きたい事を書ききってなお、書き続ける事ができるのか……個人的には、このあたりが重要なんじゃないかと思ってる。


 さて、『どう書くか』を指南する書籍は数あれど、『何を書くか』を指南する書籍は知る限り二冊しかない。いずれも、純文学系の作家が記した書籍。もちろん、エンタメ系の書き手にも、響くところはあるのではないかと思う。


◇一億三千万人のための小説教室

著者:高橋 源一郎


◇書きあぐねている人のための小説入門

著者:保坂 和志


 少し角度を変えて紹介するのなら、『自らの小説に、どう向き合うか』について語られている書籍。

 指南書なんて読まない方が良いと思っているワタシだけど、この二冊だけは手元においている。少しだけ強い言葉を使うのなら、「読む価値のある指南書は、この二冊だけ」という事だ。


 純文学系の書き手さんや、エンタメ系でも作品に深味を出したい書き手さんにお薦めしたい二冊。解り易さを求めるのなら高橋源一郎氏の著書を、哲学的にこねくり回した物言いがお好きなら保坂和志氏の著書を……いずれも、読み物としても面白い。



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