第28話 怪盗が来るー6

「それで、死因は」


 刑事だろう、鑑識は今は何にも言わない死体大越から顔を上げる。


「詳しくはわかりませんが、死因はたぶん心臓発作かと思います」

「心臓発作、事故か」

「そうですね、事件性は低いかと思います。死体に怪しいと思うのは右手の甲に針に刺されたような傷があることだけで」

「とにかく関係者に話しを聞くか」


 刑事は事件現場から離れ、事件に遭遇した人たちがいる別室へ。

 刑事がいなくなった空きに話しかける。


「それで鑑識さん、その右手を見させてもらっても」

「え、いや……誰?」

「事件の関係者です」

「それなら別室で話しを」

「それは他の二人に任せたので、写真でもいいですので」

「そんな簡単に見せられないよ。それに関係者は「事件関係者です」」


 ここは負けてはダメだ。強気に行く。


「だけど、それでも」


 やっぱりダメか。


「見せてやれ」

「え、草薙《くさなぎ》さん!仕方ないですね」


 32歳前後の男性のおかげで事件の写真を見させてもらえることに。


「お久しぶりです」

「そうだな、それにしても事件によく遭遇するな」

「それはお互い様では?いや刑事だから当たり前なのか」

「それよりあっちの嬢ちゃんは?新しい子か」


 草薙刑事はシャロの方を見る。

 シャロは鑑識から借りた写真と現場を見て回ってる。待ち望んだ事件が殺人になったんだ、探偵部としてここは譲れない。

 草薙刑事とはバスジャック事件で知り合った。その際は黒子と一緒だったからな、そしてパトカーで追いかけまわされた。


「黒子は別室で話しを聞いています」

「なるほどな、二手に分かれて捜査しているのか」

「ええ、探偵ですから」

「それで探偵たちはこの事件は事故か他殺、どっちと見る」

「他殺です」


 シャロは一通り見終え、俺たちの方へやって来る。


「おお、その理由は」

「該者の右手の甲、そして現場近くに落ちていたこれです」


 シャロの手には袋に入った物が。

 丸く先が尖った小さな物、まるで生クリームを絞る際に使う物に似ている。


「これから他殺と判断します」


「ほう、これが事件のカギになるのか」


 草薙刑事は感心したような顔を見せる。

 見たかこれが探偵部の探偵だ。


「誠、関係者達の話しが聞けたわ」


「黒子。それじゃ会議としますか」






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