第26話 怪盗が来る―4

 なんだかんだで目的地には着くことができた。

 途中までいろいろあって疲れた。後はこのビルを上るだけだ。展示会があるのは7階、展示スペース。


「ああ、ここまで来れて良かった」

「そうですね」

「そうだね」

「ええ」


 俺たちは四人は展示会の作品を見ながら感想を述べる。

 入場料一人千円。少し高かった、高校生には厳しい値段だが怪盗に会えるなら安いもんか。


「それにしても面白い物を展示しているのですね」

「古代の剣や有名武将が使ったさかずき

「どれも価値あるものでしょうね」

「そう、なのか?」


 この展示物は歴史ある物なのかは俺にはわからない。ガラクタを見ている気分だ。


「ねえねえ黒ちゃん、この置物はいくらするの?」

「そうね、売ってもそれほど高くないと思うわ」

「そうなんだー」

「あらなに、欲しかったの」

「うーん、そこまで欲しくはないかな」


 瑠奈と黒子は二人で楽しんでいるみたいだし怪盗が来る時間まで自由時間にするか。


「おーい瑠奈、黒子予定の時間まで自由時間にしようと思うんだけど」

「それならあたしはこのビルでやっているスイーツバイキングに行こうかな」

「あら、いいわね。私も付き合うわ。あなたはどうする」

「私も行きます!誠さんはどうします?」

「俺はその辺を歩いているよ」

「そうですか。では時間になりましたら連絡しますね」

「ああ」


 女子達と別れ俺は会場の外へ。


「さて、と」


 会場近くをぶらつくことにした。


「おい、こんな場所で私の宝は大丈夫なんだろうな」

「大丈夫です。しっかり警備をしますんで」

「フッ、どうだかな。こんな町のこんな場所で私の宝をわかる奴なんているのか」

「興味ある学生が多いののか学生の方が来園者が多いです」

「それはどうだか。怪盗とかいう奴が私の宝を狙っているとかいうではないか」

「ええ、その事ありますが……警備の方は万全の態勢を行っているので大丈夫です!」

「信用できるか」

「今回の目玉の宝石は展示時間決まっているのでその時間まで警備員が見ていますんで」

「私も確認する。いいな」

「は、はい。こちらです」

「行くぞ、新井あらい

「わかりました」


 なんか偉そうなおじさんと弱腰な展示責任者、そしておじさんに新井と呼ばれた眼鏡の男性。

 あの人が今回怪盗に狙われている物を持つ者か。


「面白くなりそうだ」

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