神風
俺が高校生の時の、日本史の時間の話だ。
「蒙古襲来は、いつかな?」
確か、1274年だったな。俺は思い出した。
「その通り。それは文永の役だ」
あ、そっか。もう1回あったな。確か、弘安の役だったはず。
「うむ。それは1281年だ。あっているぞ」
ふう。俺の知識に問題はなさそうだな。
「そう油断するな。重要なのは、北条時宗のように隙を見せないことだ」
確かに武士なら、身を引き締めるべきだものな。
「そうだ。そうすれば神も風を吹いてくれる」
蒙古襲来…元寇とも言う。世界の4分の1を支配していた当時どころか今までの歴史の中でも1番大きな帝国が日本に攻めてきたことがある。
そこでこんな話を聞いたことないか?
神風が吹いて、元を壊滅させた。
間違ってはいない。でも、あってるかというと、ちょっとだけ違う。
元の船は、海上にいた。だから神風…今でいう台風が直撃して壊滅するんだけど。どうして元は海の上にいたのか?
博多には防塁が築かれてはいた。でも進軍が阻まれたのであって、元も少しは上陸できたはずだろう?
理由はな、日本の武士が強すぎたんだ。それはそれは、元の予想の遥か斜め上を行くぐらい。陸地を少しでも占拠することもできなかったようだ。
そもそも武士が弱かったら、元は1度目の侵略で日本を攻略できたはず。でも、できていない。そして2度目も全然敵わなかったのだ…。
だから元軍は海に留まるほかなく、そこに台風が直撃したってワケ。
確かに風は吹いたけど、それは武士が隙を見せなかったから、功を奏したんだ。
これが第二次世界大戦時に勝手に美談になって、神風特攻隊なんてできてしまって…。これを知ったら北条時宗は、何を感じるんだろうか?
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