地震兵器

 2011年3月11日。忘れもしない、東日本大震災の日だ。俺は山形県にいたから津波は来なかったけど、あの映像を見たときは恐ろしかった。エミリなんて泣いていたぐらいだ。

 当初俺は宮城県沖地震の再来かと思ったが、気象庁によれば違うとのこと。

 じゃあ何であんなに大きな地震が起きたんだ?

 そこで言われるのが、地震兵器。人口調整のために無理やり地震を起こしたってワケだ。津波で原発を破壊し、そのデータも調べる思惑もあっただろう。

 そう言えば、阪神淡路大震災も地震兵器による地震と考えられている。どうやら日本は、ターゲットにされやすいみたいだ…。


 そんなの信じるなんて、それこそ脳みそ揺さぶられてんのか?

 地震兵器なんてない理由を3つ解説しよう。

 1つ目は、技術的な問題。

 実は、地震は人工的に起こせないことはない。だからと言って、やっぱ地震兵器じゃんって言ったら解説やめっからな?

 地下で爆弾を爆発させる。すると地面が揺れる。恐らく語られる人工地震の大部分はコレだろう。実際に地下で核実験なんかをやると、地震が起きるしね。

 爆弾は核爆弾か、水爆が使われる。それを地面の底で爆発させ、大きな揺れを起こす。

 簡単そうに聞こえるが、実はハチャメチャ難しい。

 まずぶち当たるのが、それほど大きな揺れを生じさせるほどのエネルギーをどうやって用意するのか? ソ連のツァーリボンバっていう水爆が人類史上最大の威力なんだけど、それでもマグニチュード7クラスの揺れしか起きない。東日本大震災のマグニチュードは9。あとたったの2って思うかもしれないが、マグニチュードは1上がるとエネルギーは約32倍になる。2上げようものなら、さらに32倍…。

 つまり水爆で東日本大震災を起こしたいのなら、ツァーリボンバを1024発持ってこなければいけない。散々核兵器を減らそうと言われるこのご時世に、そんなに生産できるか!

 しかも東日本大震災の震源の深さは24キロメートル。東京タワーを80塔用意しても足らんレベルの深さ。ちなみに人類が今までに掘った穴で最深なのは、6キロメートル。限界をさらに3回超える必要があるよ…。

 2つ目に、よく言われるHAARPにはそんな力はない。

 HAARPとは、高周波活性オーロラ調査プログラムの略だ。地球の電離層と地球近くの宇宙で生じる自然現象を探求し、理解することが目的とされている。外見はただのアンテナ。そこから電磁波を出して、それがどのように影響するのか調べるのであって、地震なんか起こさないぞ?

 だいたい電磁波ってさ、物を通りにくいんだよ。車のラジオ、トンネルに入ると通じないだろう? 電磁波は地中深くに潜っていけない。

 地中云々と言う前に、電磁波は水も通りにくい。潜水艦を思い浮かべて欲しい。潜水艦にはソナーが使われている。ソナーは音を出して反射させて、敵を見つけるんだ。電磁波は敵潜水艦を発見するのには使われない。そこからも電磁波が水に対して不適切とわかるだろう。だって水を通り抜けられないんだもん。

 東日本大震災の震源は日本海溝だ。日本海溝は深さ最大8000メートル。ただでさえ水を通りにくい電磁波にその深さを潜れと? 無理無理! できたとしてもそこからさらに十数キロメートル地中を進まないといけない。どっちにしろ詰みである。

 3つ目は、地震を起こすメリットがないこと。

 どこの国が日本で地震を起こして喜ぶのさ? 確かに日本と仲が悪い国はあるけど、そこまでしてダメージを与える必要ってないだろう? 地震を起こされた日本は世界中から同情してもらい、起こした国は世界中から批判される。場合によっては国交断絶もあり得る。最悪の場合、戦争だ。日本は自分から攻めたりしないだろうけど、このターゲットが他の国なら十分あり得る。そんなリスクを冒してまで、地震を起こすメリットなど、アリはしない! 

 以上3つの理由により、地震兵器は存在しない。それでも信じるっていうのなら勝手だけど、ならば自分で調べてみては?

 でも地震大国日本にいる以上、震災からは逃れられない運命だ。万が一に備えておくのはオススメするぜ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る