第6話 プトプト

 梨央と有希がプトプトに夢中になっているので、勇太もちょっと興味がわいた。

 スマートフォンに、プトプトをインストール。

 (まぁ、どんなものか、試してみるか。もし、飽きたら、また、アンインストールすればいいだけだしな)

 と勇太は思い、インストールを開始。

 完了したら、いったんホームに戻って、プトプトのアイコンをタップ。

 

 (いろいろな権限を許可しないといけないのか。ゲームごときに、こんなに権限が必要なのか?)

 と勇太は疑問に思いながら、許可するをタップした。

 

 そして、ゲーム画面が出てきて、ゲームスタート。

 (意外と軽いな。とりあえず、遊んでみるよう。よくある、なぞって消すパズルゲームみたいだ。このパズルピースの画像、見覚えがある。仮想通貨のシンボルの画像だ。水色の背景に赤い「K」の文字……間違いない。カワダコインのアイコンだ。だから、仮想通貨にも交換できるのか。なんていうゲームなんだ)

 と勇太はいろいろ思いを巡らせていた。

 

 早速遊んでみる。

 (パズルを解いたら、Pポイントがたまっていく。課金要素は、ゲームを解くともらえるPポイントが多少増えるキャラクターやパズルと解くヒントを出してくれるキャラクター等が、ランダム出てくるガチャ。しかも、ご丁寧に、キャラクターのレアリティもある。一応、普通にやっていても、キャラクターがもらえるが、出てくる頻度が少ない。Pポイントの使い方は、商品を交換できるだけではなくて、自分の街を発展させるためのポイントにも使えるのか)

 と、勇太は思いながら、ゲームをしていると、突然、梨央も有希が

 「プトプト始めたんだね!」

 とハモるように言ってきた。

 勇太は

 「ん?なぜ知っているんだ?」

 そしたら、梨央が

 「連絡先に登録している人が始めると通知が来るんだよ」

 と言った。

 ……だから、連絡先のアクセスや電話番号のアクセス許可があったのかよ。

 余計な機能だな。

 勇太は、

 (まぁ~いいや)

 と思いながら、梨央と有希と一緒に、プトプトに熱中していた。

 

 勇太が突然、

 「実は、俺、停学中なんだ」

 と言い出した。

 梨央と有希のスマートフォン操作が止まった。

 梨央が

 「なんで?」

 と聞いてきたので勇太は、

 「まぁ~学校で喧嘩しちゃって……それで停学になった」

 とナイフのことは隠しつつ、答えた。

 それを聞いた有希は、

 「まぁやまちゃんは、弱いくせに、喧嘩売られたら、買っちゃうタイプだからねぇ~気をつけなさいよ~」

 と、さも当然のように、答えた。


 プトプトに熱中するあまり、しゃべる時間が少なくなってしまった。

 そして、夜20時になり、梨央が、

 「それじゃ~また、暇になったら、遊びに来るねぇ~あ、停学中だから、毎日暇なんだね」

 と笑いながら言ったので、勇太はちょっと傷ついた。

 まぁ~そこまで、嫌みが言える仲なので、むかつきはしなかったが。

 そして、二人は帰っていった。

 

 梨央と有希が帰った後、パソコンのディスプレイを見た。

 

 まだトランザクションの同期が3分の1しか、完了していない。

 (同期完了までの時間は、あてにならないな……それにしても、昨日夜見た時は、取得ブロック時期が早く進んでいたのに、今見たら、全然進まない。やはり、ブームが起きていて、その分、トランザクションが増えたんだろう)

 と勇太はトランザクションの同期のゲージがなかなか進まないので、イライラしながら、思った。

 

 勇太は、

 (さて、停学中は、何をやるかな?反省文は、あとで書くことにして……そうだ、せっかくだし、仮想通貨取引所の口座(アカウント)を作ろうか。そうすれば、パソコンのウォレットに入っている、いくらかのカワダコインも、簡単に現金化できるぞ)

 と思ったが、一つ、難題がある。

 そう、親だ。

 あの事件が起きてから、一度も顔を出していない。

 (母さんは、許可を出してくれるだろうか……)

 勇太は、憂鬱に思った。

 (あと、銀行口座だ。一応、俺名義の銀行口座は持っているが、親に預けっぱなしだ。自分で、入出金を行いたい。今では、ネット銀行というのがある。もう、高校生だし、調べれば、作れるはずだ)

 そう思い、勇太は、早速ネット銀行を調べだし、未成年でも口座開設できる銀行を見つけた。

 ネット銀行の口座開設条件に、身分証明書の確認が必要であった。

 (身分証明書が必要なのか……まぁ仮想通貨取引所のアカウントを作るときも必要なので、この際用意しておくか。う~ん、このネット銀行の本人確認書類では、住民票が妥当だな。月曜日、駅の近くの出張所で、取りに行こう)

 

 もう時間は、深夜の1時。

 さすがに、おなかがすいてきた。夕飯をとらないと、死んでしまいそうだ。

 勇太は、足音を立てずに、1階のリビングへ向かった。

 テーブルには、おにぎりがおいてあった。

 母親が作ってくれたのだろう。

 勇太は、おにぎりを食べ、下着を着替えて、足音を立てずに、2階の自分の部屋へ向かった。 

 そして、ベッドに転がり、そのまま、就寝についた。

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