モブ召喚

ひまとま

第1章 異世界にモブが召喚されました

これがモブのやり方か

第1話 好きな寿司のネタは?

 俺の名前はレイヤ。クセが強い黒髪の普通の男子生徒だ。身長はクラスで真ん中くらいで、成績も真ん中くらいで、アニメとかで背景にされていそうな人間だ。


 さて、早速だけど異世界に召喚された。いや、正確に言うならば、巻き込まれて召喚された、の方が正しいかもしれない。

 正直、俺だって休み時間に隣のクラスの友達に会いに来て、くだらない話をしている最中に召喚されるとは思いもしなかったし、俺の友達も思ってなかったと思う。

 え、どんな話をしていたかって?好きな寿司のネタに関してだけど。


 話を戻して……召喚先で待っていたのは、王様ただ一人だった。

 うん、おかしいよね?普通他の……例えば女王様とかお姫様とか騎士とか魔法使いとか獣人とかエルフとか王子様とか、いるべきだとは思わないかねワト◯ン君。

 おっと間違えた。俺の唯一の親友である、フシミ君。


 彼は茶髪で三白眼でイケメン寄りの人間である。だが、よく背景にされがちな人間である。


「ねえレイヤ、何を言っているのかわからないけど、とりあえず何を言っているのか理解した」


 それは普通、理解していないとは言わないかね?

 もちろん、俺はそれを声に出すことはない。


 そういえば、先ほどからこのクラスの代表らしき男子生徒が、王様と何やら会話をしている。まあ、俺にとっては関係のないことだから、とりあえず聞き流しておく。

 まあ何かあれば、後でフシミが教えてくれるだろう。


「そういえば、レイヤは僕のクラスの代表の名前、知らなかったよね?」

「確かに知らない。知る必要がないと思ってたからな」


 フシミのクラスに通い始めたのは、今から一週間前のこと。ちょうどクラス替えがあった日のことだ。それから一週間経ったが、やっと代表が決まったのか。

 俺のクラス?クラス替えが終わった瞬間に決まった。もちろん俺じゃない。


「僕のクラスの代表は、マコトって名前。名字は教えないよ?どうせ忘れるんだし」

「よくわかったな。さっすがフシミ。俺のことよくわかってるな」

「長い付き合いだもん。さすがに分からなきゃやばいでしょうに」


 今の彼の言葉からわかるように、俺とフシミとの付き合いは長い。幼稚園の頃からの親友で、高校生になった今でもその関係は続いている。

 喧嘩はもちろんするし、競い合ったりもする。だけど、今でも俺の唯一の親友だ。


 不思議と目立たないんだけどな。そう、不思議と。


「ところで、今その代表は何をしている最中なんだ?」

「えーっと……自分のステータスを確認しているところだね」

「ふーん、こういうのって、大抵『ステータス』とか言ったり心の中で思ったりすると出てくるんだよな」

「へ〜」


 冗談半分に言ってみた。するとーー


 *****

 レイヤ

 種族:人

 Lv.1

 職業:モブ

 <スキル>

 なし

 <固有>

 職業変更Lv.1・スキル巻き込みLv.1・背景同化

 *****


 ーーこんなステータスが出てきましたとさ


 もちろん、俺はこんなことでは動じない。

 とりあえず、教室でした質問をもう一回してみようと思う。


「なあ、フシミは好きな寿司のネタあるか?」

「ハマチ。レイヤは?」

「いくら」


 ところで、フシミのステータスはなんだろうか?

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