本の虫に花束を

男子高校生観察日記

プリザーブドフラワー

「眉目秀麗」「頭脳明晰」「品行方正」

俺は四字熟語が大嫌いだった。

たった漢字四文字で人を褒めようとするこれらの記号の羅列はただの媚びの安売りにしか見えなかったのだ。

しかし、これらの羅列はまるで切っても切れないツタのように物心ついたころからずっと俺に付き纏い、完璧というイメージに俺を縛り付けた。


――あの時、一冊の本と一人の男がこのツタを引きちぎるまでは。


今から少しだけ、俺が心の中に大事にずっと保存プリザーブしていた彼との思い出を読み聞かせてあげよう。



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