第38話 三人がセイを……

「じ、じゃあ、いよいよ行くぜ」


「おう、バッチリ撮るから……タド、入っている」


「ああ、悪い……しゃがむとパンツ丸見えだな」


 川田は手にはさみを持っていた。

 そのはさみを、荒尾の大きすぎる双山の間にすべり込ませていく。


 そして、その山々をつなぐ橋のようなブラのヒモを、はさみで切った。

 すると、モモの大きな山が、封印を解かれたかのように、大きく揺れ動き始める。


 その様子見て、3人は歓声を上げる。


 ぶるぶると震える山は、綺麗な白色だった。

 田口は、その様子を熱心にスマフォで撮っている。

 三人とも、モモの大きな胸に興奮していた。


 しかし、その様子を教室の外で見ているシンジは、どこか冷めていた。

 それより、気になる事があるのだ。


(……胸が、ある)


 シンジは、初日にモモの胸が食いちぎられている光景を見ている。


 そのモモの胸が、綺麗に存在していた。

 それだけじゃない。

 ここから見ている限りモモに傷らしきモノはない。

 綺麗なままだ。


(……やっぱ、自己再生機能があるってことか? そういえば、百合野さんも、首だけになったのに存在していた。角にして、しっかり素材に変えないと、死鬼は復活するって所かな)


 シンジは、今までの情報から、予想を立てる。

 今まで、首だけにして、一日放置していた死鬼がいたが、それは復活していなかった。

 傷の度合いによって、復活する時間が変わるのか、復活するのに、何か条件があるのか、それは分からない。


「っ……い、行きます」


 シンジが、そんな予想を立てている間に、教室の三人に動きがあった。


 荒尾の大きな山に興奮だけしていた川田が、ついにその両手を荒尾の山に近づけ始めたのだ。


 ぐにゅっと川田の指が、荒尾の山に飲まれていく。


「やべぇ……これやべぇ……マジで……」


 ぐにゃぐにゃと乱暴に、川田は荒尾の山の形を崩していく。


「さっすが『ビッグバスター』。すごい動き……タムもやりたかったろうな」


 スマホで撮りながら、田口がつぶやく。


「生きてるよ。きっと。タムが生きていたら、今度は4人でやろうぜ」

 川田がニカッと笑う

 川田の、その口調と言葉は、爽やかであったが、両手は動けない女子生徒の山を激しく揉んでいた。


「お、おれ、もう我慢できないんだけど」


 川田が、荒尾の大きな山の形を変えているのを、パンツ越しに見ていた田所が、腰を引いて、二人に言う。


「はぁ? もうちょい待てよ」


 川田は田所に言うが


「いや、もう無理」


 といって、田所はベルトをはずし、ズボンを脱ぎ始める。







「……何これ?」


 後ろから声が聞こえて、シンジは振り返る。

 そこには、セイが、立っていた。

 シンジが教室の中をただ見ているだけだったので、待ちきれなくなって様子を見に来たのだ。


 セイは教室の中の光景を見て、唖然としている。


(……めんどくさい事になりそうだな)


 シンジは、一瞬で察した。






「田所、イッキまーっす!」


 田所が、パンツを勢いよくに下ろす。


「何しているんですか!」


 それと同時に、セイが勢いよく扉を開けた。



 突然登場したセイに、教室にいた川田たちは動きが止まる。


「え? え……『永久のおっぱい 常春』さん……ぶっ!」


 田所の顔面を、セイは蹴り飛ばす。


「汚いモノをみせないでください」

「タド!」


 田口が、蹴られた友人に叫ぶ。

 そのとき、カッと、軽い音が響いた。

 セイが、田口の持っていたスマフォを蹴り上げたのだ。


「……これで何をしてたんですか?」


「ヒッ」


 いつの間にか近くにいたセイにビビった田口は、反射的に後ろに下がる。


「フッ!」


 その田口の顎を、セイは正確にかかとで揺らし、田口を気絶させる。


「……まったく、女性の裸を撮るなんて、最低ですね」


セイは、川田の方を見る。


「なっ! なっ! 何しやが……」


「何かしていたのはあなたたちの方じゃないですか? いくら死鬼が死体だといっても、やって良い事と悪い事があります」


「はぁ!? 死鬼? 死体? 何言ってん……だぁ!?」


 セイは、川田の鳩尾を蹴る。


 体が浮き上がるほどの蹴りを食らった川田は、その場にうずくまるように倒れた。


「まったく……こんなひどい事を……」


 セイはモモに近づいていき、露わになっている乳房を隠すようにシャツと上着のボタンを留めていく。


 その背後に、ゆっくりと立ち上がる川田がいた。

 その手には金属の棒。


「はっ!?」


「食らえええええええ」


 川田が、セイに金属の棒を押し当てる。


「キャッ!」


 短い悲鳴をあげた後、セイは体の力が抜け倒れてしまう。


「スタンガン付きの警棒……護身用に持っててよかったぜぇ」


 川田は、バチバチと音を出すスタンガンを右手に持ちながら左手で自身のおなかを触る。


「噛まれた時のために、おなかに雑誌をタオルでくるんで仕込んでいたのに……めっちゃ痛てぇ……」


 川田は、倒れたほかの二人の元へ行き頬をたたいて起こす。


「おい、起きろ」


「うう」


「痛てて……」


 セイは、電気でしびれて倒れたままだ。


「で、どうする? とんでもない大物にとんでもない所見られたけど」


「そりゃ……ねぇ? まじめで、性格のきつそうな、巨乳美少女、常春ちゃんが、目の前で動けなくなってるんだし? ぶっちゃけおかしくなっている荒尾ちゃんよりこっちの方が楽しめそうだよね」


「ひどい目に遭わされたし、口封じ、だな」


 三人は、下卑た笑いを浮かべてセイに近づいていく。


「ああ、念のためにもう一度」


「キャァアアアアアアアアアア」


 川田は、倒れて動けないセイにスタンガンを押し当てた。

 セイは叫び痙攣する。


「やっべぇ……なんか、やっべぇ……悲鳴、超かわいい」


「こ、興奮するなぁ」


 二度も電流を流され、息も絶え絶えな様子のセイを見て三人は興奮を高めていく。


「お、俺もう我慢出来ないわ。田所、イッキまーっす!」


 すでにパンツまで脱いでいた田所がセイにのしかかる。


「おまっ! ちょっ」


「いや、これはマジで順番! あとカメラ用意して、脅さないと……」


 田所に川田と田口が抗議を始めたそのとき。


「まぁ、ここらへんが限界だな」


 シンジが、三人の背後に立っていた。


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