第6話 新しい自分へ
真理と一緒に試験の復習をし、ウニの卵割の様子を確認した後、胡桃は家に帰ってどうして失敗したのかを考えた。
いろいろ思い当たる節はあるが、やっぱり失敗の根源は「SRY遺伝子」のような気がする。あの問題に固執してしまったから、時間配分をあやまり、焦りが生まれ、その後の問題にも集中できなかった。
だから、次はもっとしっかりと記憶にとどめなくてはいけない。どれだけ焦っても、ちゃんと答えが出てくるように。どんな状況下でも、回答を埋められるように。
そのためには、勉強時間をもっと増やすしかない。
今日から次回のテストまで3週間ある。時間はない。が、きちんと計画を立て、自分を律して勉強したらきっと英梨華に勝てるだろう。——いや、勝たなくてはいけない。
胡桃はルーズリーフに『学力テスト計画表』と見出しを付けた。
1日が24時間で、睡眠時間と食事と学校を除いた時間をすべて勉強に充てる。1分1秒も無駄にできない。1問でも多く問題を解き、1単語でも多く暗記するのだ。
胡桃はペンを走らせる。計画を立てることなんて一度もしたことがないので勝手が分からなかったが、とりあえず完成させようと思った。30分ほどして、
「よし、できた」
胡桃は計画表の上の消しカスを払い、両手で持って眺める。3週間のカレンダーに、やるべきことがぎっしりと書き込んである。
胡桃は『学力テスト計画表』と書いた自分の字を見つめた。
これで英梨華に勝てるのだろうか。
足りないところはないか。
姉に相談してみようかと胡桃は思ったが、姉は大学の寮に戻ったので今は家にいない。メールや電話で聞いてみても上手く伝えられる自信がないし、姉は姉で忙しいからそもそも電話を取ってくれるか分からない。
他に相談できる人と言ったら、
「——そうだ」
胡桃の頭に一人の女性の顔が浮かんだ。
あの人なら、相談に乗ってくれるかもしれない。
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