道を見る
囲会多マッキー
第1話
日常の中で出会う人。それは知らない人も
いれば知っている人もいる。
俺は学校の登下校中にすれ違うだけの女子のことが忘れられなかった。
その女子は私と小学校が同じで中学校では不登校になってしまった子である。
俺はそんな女子に対する不思議な感情が分からない。今まで恋をしたことがなかったからだ。
――いや、恋というものを知らなかった。
私はその女子に
「久しぶり」と声をかけた。
しかしその子が言葉を返してくることは無かった。俺は諦めずに何度も話しかけた。
「今日のおかずは?」とか普通なら答えないような質問だろう。
――しかし、彼女は答えた。
「シャケ」
「え?シャケ?」
「うん。」
これが俺が初めて彼女と交わした最初の会話だ。それからまた話すことは無くなった。
彼女との距離は全くと言っていいほど縮まることは無かった。
――そんなある日。
俺は新しい弁当箱を買いに行った時、お店でばったり出会ったのだ。生意気な元カノに。
「⋯⋯最悪。」
「その反応はないよ〜」
「髪型、変えたんだ。」
「うん。ちょっと切っただけだけど分かるんだ?」
「メガネを見分けるより楽。」
そう、俺は眼鏡をかけている。何故かほかの人がメガネを変えるとすぐに分かるのである。
「⋯⋯そうなんだ。」
「で、何しに来たの?」
「言う必要ないでしょ。」
「家に帰ってないんだろ?」
「だから?」
「⋯⋯もういい。」
彼女は長い髪の香りを残して行ってしまった。これでいい。これ以上関係を持つ必要は無い。
そんな考えが通用する世の中ではなかった。
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