第22話 青い射撃戦機体
さて。
騎士団は数が少なくなった分、動きに自由度が出来た。
それを利用し、縦横無尽に連携しながらこっちを警戒している。
おかげで次の一手がなかなか出せない。
「実際は3機なら何とかなるんだがな。向こうに奴らがいなければの話だが」
機関砲で時々牽制しながら透里は言って、そして。
「何とかなりそうだ。いつでも仕掛けられる準備をしておけ」
と訂正した。
どうも虫眼鏡が何かを発見したらしい。
だから僕はペーパーナイフの足を一歩踏み出して。
右手を刀にかけ斬撃に移れるようにして。
そして。
機会は不意にやってきた。
銃撃音。
遠方からの連射だ。
狙いは集団の方の機体。
集団の機体はそれぞれバラバラに射撃を避けるため動く。
騎士団が背後に一瞬気を取られた。
その瞬間。
僕のペーパーナイフと透里の虫眼鏡が加速。
斬撃が1機を両断し背後の1機の羽に傷をつける。
機関銃の連射を盾で防いだ白い機体は猛禽の爪で弾かれ道に転がる。
最後の1機は振り向きざまの猛禽の機関砲でとどめを刺された。
そして。
その間に集団の機体は全滅していた。
集団の背後に青い機体が出現している。
長大な銃を肩に装備した射撃戦用の機体だ。
不意打ちとは言え、6機を射撃戦で制圧したらしい。
かなり強力な機体だ。
それとも強力なのは乗り手だろうか。
青い機体は手を伸ばす。
倒した機体が人に戻り、そして小さな何かが青い機体の元へ飛んでいった。
ペーパーナイフの機体を通して僕は理解する。
あれは倒した機体のアカシック・ウェポン原型だ。
青い機体はそれらを手にして。
そして握りつぶした。
アカシック・ウェポンが魔力を放出して消滅していく。
「成程、狙いはアカシック・ウェポン収集では無いという事か」
「我に機体は此で充分」
始めてこの機体の所有者の声を聞いた。
台詞は古めかしいが女の子の声だ。
「馴れ合うつもりも無い。此にて失礼」
青い機体はすっと後を向き、そして歩き始める。
後を見せるというのは敵意がないという事の表明でもあるだろう。
「先程はありがとう。助かった」
これは褐色の機体と白い機体2機との戦いの時の礼だ。
「馴れ合いはしない。ただ礼は礼として受け取ろう」
やはり古風な感じの台詞が女の子の声で返ってきた。
ただ言葉のセンスはともかく、行動自体は嫌いじゃない。
色々筋が通っている感じがして。
「他に機体は無し。さて、解除するか」
透里の声。
僕が機体を解除して地上に降りたのと。
透里がそうしたのとはほぼ同時だった。
「さっきのは知り合いか」
「いや。ただ別部隊と戦っている時に助けて貰った」
「どんな感じに」
そんな事を話しながら2人で厚生棟の方へ歩いて行く。
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