<7> Ronya

 ラインヒルデはあたしの望みを現実に近づけたけど、その夫、つまり後援者はどちらかといえば凡庸だった。

 その頃には、とにかく名前がRで始まる名の若い貴婦人、そしてM家の係累であることだけが、ロデリンダの遺産とあたしにかかわる相続の条件になっていた。

 つまり強引に次の女主人になった彼女は遠縁も遠縁だった。北国の淡い肌を寄せて、ローニャはよくあたしを抱いた。

「お人形様とかなんとか言って崇めたって、あんたはわたしより無力なのにね!」

 あたしの女王様は、いつだってロデリンダ。

 いつまでたっても、あたしにとって、あなたの他に女王様はいないのにね。

 有り余る財と栄光と家の名前を継いだ女が女王陛下を気取るのは、例えばまるで道化みたい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る