Ⅱ:京子編

第1話「京子と家族」

体育のバスケの時間。残り10秒をタイマーが示す。


「京子、たのんだよ」

「オッケー! っ、ここかっ」


パスを受け取った京子は、すでにガードのかたい前方を見て、3Pラインからシュートを放つ。

れいな放物線をえがいたボールは、静かにネットをらした。


「うっそ、かんぺきすぎるだろ」

「さっすが京子!」


男子と女子がそれにざわついていたところで、インターバルのブザーが鳴る。


「……っほんとお前、見た目も男子っぽいのに、もつたいねえわ」


きゆうけいしにコート外へもどった京子に、苦笑いで言うクラスメイトの男子を見て、あせいていたタオルを放り、急にそのほおをつねった。


「ってててて!! な、何すんだ!」


そうさけぶ男子をにらみつけた京子は、こう言い放った。


「男子になるつもりもねぇし、良いか悪いかを決めるのはオレ自身だっつーの!」


体育館が静まりかえるが、男子がほうけてしまったので気まずい空気になった。


「お前、何でほおをつねったんだよ」

「は? グーパンじゃ加減できねーだろ」


すいとうをがぶ飲みした後、周囲の空気に気づいた京子は「わり、気にすんな」とだけ告げた。

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