ごくごく普通の中学生、山田純は学校の帰宅途中マンホールに落下。
気づくと目の前に広がるのは見知らぬ書庫。
まさかの異世界トリップ!?と衝撃を受ける純は、レオンいう気弱で優しい少年と出会う。
レオンに世界のことを教えてもらいながら、元の世界に早く帰らなければ。と焦る純。
そんな純の前に現れたのは、異世界トリップの原因は自分だ。という自称神様ハザマだった。
ろくに説明もせずに、帰してあげるから準備ができるまで隠れていなさい。という適当なことをいうハザマに腹がたった純は、教えてくれないなら自分で原因探してやる!と旅立ちを決意する。
その先に待ち受ける世界の秘密、悲劇を知りもせず――。
いま流行の異世界転移ものと比べると、王道と言える作品です。
異世界転移してしまった主人公純が、元の世界に帰る方法を探るべく、出会った仲間と共に旅に出る。
そんな純を待ち受けているのは、様々な出会いと世界の秘密。
さて、純は真相にたどり着けるのか。そもそも真相とは何なのか。
と、ワクワクした気持ちで読める冒険ファンタジー。
突然放り出された異世界で逃げ出さず、脅威に立ち向かおうとする純はついつい応援してしまう主人公です。
迷ったり心が折れそうになったり、怖気づいたり。そういう普通の中学生らしい一面を見せつつも、最後は戦う決意をする彼女はカッコいい主人公だと思います。
他にも気弱でありながらも仲間思いなレオンに、ムードメーカーのアカザ。
話が進むにつれて増えていく多彩な登場人物たちがお話を盛り上げます。
特に敵として登場するキャラクターの癖が強いです。味方側に比べると本当に自由です。
そのほかにも多くの謎も残されているため、読みごたえは十分。
読み進めてから読み返すと、ああ、ここはこういうことだったのか。と気付くこともあり、先の展開を予想しながら読む楽しさがあります。
お話としてはまだ序章。
それでいながら不穏なフラグはちりばめられており、この先一体どうなるのか楽しみです。
じっくり、ゆっくりと長編ファンタジーの世界に浸りたい方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。