君に告げたら終わり
実田梢は臆病だ。こんなに臆病だと思わなかった。同じクラスになって三ヶ月。梢が気になりだしてから、4年3ヶ月もたってしまった。
本が好きな相模君は、暇があれば本を読んでいた。相模君は人付き合いが悪い。愛想もない。でも梢は知っている。彼は、友達がいないんじゃない。友達を作る余裕がない。
保育園に弟と妹を迎えに行く。夕食の準備をする。
中学生の頃から、彼は嫌な顔せずそれをしてきた。
偶然見かけて、それが目から離れず、今まで来ている。弟と妹に見せる笑顔と、学校で見せる無表情の差があまりにありすぎた。
そんな相模君が、雨で立ち往生をしている。
私は傘がある。彼は傘がない。
でも何か言ったら、この恋は終わってしまう。
その実感はあった。
でも、何にもしなければ――ずっと、このままだ。
(勇気を出せ、梢)
自分をしかりつける。
他の人が知らない相模君の顔を、もっと見たい。
その一心で、私は名前を呼んだ。
「相模君!」
この瞬間、迷いは雨で流れた。
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お題BOT様 @0daib0t
「君に告げたら終わりの恋」よりお題を頂きました。
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