仲良くなる方法
雨が激しく打ち付ける。しまった、と思った。天気予報は見事に的中し、傘をすっかり忘れてきた自分が恨めしい。
どうしようもなく、正面玄関で立ちすくむ。
スカスカの傘立てを見る。唯一残っていたのは、同じクラスの実田の傘で。誰にも優しくて、成績もトップから数えた方が早い。明らかに、僕と住んでいる世界が違う。
彼女が入れてくれるはずもないので、ダッシュで帰るしかないと覚悟を――と思った瞬間、名前を呼ばれた。
実田が隣で、無邪気に喋っている。僕は現実感なく、彼女が濡れないように傘をさしている。やっぱり優しいね、と僕が言うと、実田がニッコリ笑んだ。
「ずるいと思うよ? 仲良くなる方法、ずっと考えていたから、ね?」
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