何気ない休日に


 私が作ったクッキーを、あなたは頬張る。何回も手が伸びるのは、きっと美味しい証拠なんだろうって勝手に思ってる。

 分かりやすいアクション映画。お約束のロマンス。こんな風に想えたら――と思っていたら、あなたがそっと私を抱き寄せた。

 この瞬間が幸せ――なんて思っていると携帯電話が鳴る。

 後ろ向きな感情ばかりが蠢いて、手がのびない。

「仕事の電話でしょ?」

 とあなたが無情に言う。ため息をついて渋々出た。

「先生、ごめんなさい! でも急患が、急患が!」

「落ち着いて、今行くから。状況は?」

 仕事に切り替えた私に、あなたはそっと囁いた。

 ――おいしいご飯作って待ってるからね。

 何時に帰られるか分からないけれど。

 私は大きく頷いた。






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Twitter300字SS参加作品

今回は2編投稿したうちの1編。

今回のテーマは「休」でした。

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