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「もう他の子達来ているかしら」
「どうだろ。集合時間にはまだ一時間近くあるしな。あ、でも斉藤君はもう来てると思う。さっき連絡あったし」
「そうなの」
公園を進むにつれて徐々にブルーシートの数が増え、既に酒盛りが始まっているところもある。ド平日なのに、めっちゃ人居るし。んー早く俺も飲みたい。
正直、お花見って皆でワイワイ酒を飲みたいだけだと思うんだけど、外で飲む解放感と春の陽気が楽しさを倍増させるんだろう。だってみんな楽しそうだもの。
「もうすぐかしら」
ミケが言うには公園中央を少し過ぎた所に場所を取ってくれているらしい。一際大きな桜の下を場所取ったとか。さすがミヨ。
「あ、あれじゃね?」
ブルーシートの上で桜をバックに自撮中の人物発見。それからちょこんと座っている男の子が一人。自撮をしているのは桜色の短いワンピースだ。
何度も角度を変えて撮影するそいつの後ろへそっと近づいて、シャッターを切るのと共にぬっと背後に立ってやった。
「っちょっ!」
「いやー自撮に精が出ますなー」
さすが今どきの子。
「普通に現れてよ、びっくりして変な顔になっちゃったじゃん」
「それ後で送っといて」
「はなちゃんの連絡先知らないんだけど」
呆れ顔の美人を傍目によっこらしょっと荷物を下ろす。あぁ、こりゃ絶景だ。
「ありがとな、ミヨ。めっちゃいい場所じゃん」
「そうでしょ、頑張ったんだから。どうせなら一番綺麗な所でお花見したいじゃん」
さすが奇跡の男の娘。綺麗なものに妥協はしないか。
「さんきゅ。綺麗な桜に、美人なんてオジサン嬉しいわ」
「俺は高いよ?」
なんてニッと笑いやがる。いいともいいとも、美味しい酒が飲めるなら。
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