第5話 バルニアス邸攻略します その②
--4日目
朝の食器洗いの仕事は終了し、次の行程である洗濯に取りかかる。
さあ本日第二回戦!食器洗いの時ではなかなか手応えはあった!
「この調子で張り切っていきましょー!」
「早く仕事に取り掛かって下さい」
あれ。シャルティアさん反応してくれるんですか。
さっきのやり取りでシャルティアが少し心を開いてくれている気がして親近感が湧いて嬉しい。
これ案外楽勝ミッションか?
「ダメダ、オレ!なんつったってオレが建てたフラグは高確率で回収されちまうんだからな!」
「何言ってるか分からないですけど仕事に専念してください」
「す、すいません」
なんでオレ謝ってんの?
それから仕事に取り掛かる。今回は洗濯で衣服や使った布団を洗い、干す。
今からでも早速アタックしていきたいところなんだが焦らない。
時間はまだまだある。こんな何ともない会話を続けるだけでも効果はあるはずだ。
でも後何か他にも欲しいところだな。
やはり、決定的な要素が必要だな。
「コータ様。どうかされましたか」
「んや、何でもない。あと、様付けはやめてくれオレそんなに偉くないし」
シャルティアは少し困った顔をして「そうですか…」と言った。
(キラーンッ。こーーこだぁーーー!!)
そしてオレは名案(企み)を思いつき少し気恥ずかしいが「じゃあ」と前置きをし。
「”コータ君”って呼んで欲しいなぁ!」
「イヤです」
「え、即答!?勇気を振り絞ったオレが馬鹿らしく思えてきたよ!」
少し風が吹いてきた。
シャルティアは苦笑し、少し乱れる深緑の髪に手を添え
「フフッ、冗談ですよ。__”コータ君”」
あまりに幻想的な光景に言葉を失う。頬の部分が少し赤らめていたシャルティアに本気で見惚れていた。
「?…コータ君?」
「!ぁ、いや、な、なんでもないさ」
ダメだダメだ。オレにはサーラといういずれ嫁になる心に決めたヒロインがいるんだ、不倫なんて出来るわけが……出来るわけが────。
「ヤバい。呼吸が荒くなってきた、コータ式深呼吸だ。ヒィヒィフゥー」
「コータ君?どうしました?」
「シャルティア先輩の殺傷能力高すぎて今落ち着かせてるとこっす。さあ一緒にー、さんはい。ヒィヒィフゥー」
「!あわわ。ヒィーヒィーフゥー」
半ば強引気味にシャルティアも参加させた。
ハァ。この女の子は何年僕の寿命を縮ませるのだろう。
一瞬オレは女の子がオレを囲むハーレム映像が
頭をよぎったがすぐに排除した。
落ち着いてきたところで話しを変えよう。
「そういえばオレってサーラのこと何も知らないんだよね」
「サーラ様ですか」
「名前と歳ぐらいしか知らないしな」
(あとバストぐらいか)
実際ところそうだ。後知っているとしたらお嬢様なところとダメダメなところかな。
「サーラの好きな食べ物すらも知らないしな」
「屋敷にいる人はみんな甘いものが好きですよ。あと料理でいうと肉料理でしょうか」
「あ、なんかわかる気がするのはオレだけか」
思えばサーラは朝から晩まで食事には絶対肉料理は欠かせないって声を大にして叫んでたな。
「毎日毎食肉料理とあれだけの量の食事をとっていて何故あのスタイルを維持できるのか不思議で仕方ありません」
それは確かにオレも思っていた。あれだけの量も食っておいてよくあの美ボディを維持できるな。食べた分の栄養は全部あの美胸にいってんのか。
ちなみにシャルティアの胸は小さいわけではない。小さくは、ない。
「シャルティアも十分スタイル良いと思うけどな」
「そんなことありませんよ!食事には気を使ってるつもりなのに見てくださいよ、この二の腕の肉とか。最近気にしてるんですよ」
そう言ってシャルティアは自分の二の腕の肉を摘む。
(!ちょっ。シャルティアさん!?悩んでるのは分かりますけど健全な男の子の前でそれはNGですよ!?)
だが、何の気無しに訴えるシャルティアを見ているとそんな考えも消え失せ。
「シャルティアって意外と天然なんだな」
「え、そんなことないですよ」
「そういう反応するところとかな。アハハッ」
「…不快です」
機嫌が悪いシャルティアも可愛い。
(しかしサーラも甘いの好きなんてな。これは本格的にオレの腕を振るうしかないな)
こんな所でオレのお菓子作りスキルが役立つとはな。
これで一気に全員の好感度あげてやるぜ。
洗濯と洗濯物干しの仕事は終了し、今日シャルティアと共に行う行事は残り午後にある特訓だけだ。
シャルティアとはもう少し接触したかったが本人がいないところでも出来ることはある。
イリスにもシャルティアやサーラのこと聞きたいし。イリス自身の話も聞きたいしな。
まあ本命は《アヴニール・アイ》の能力の効果とか色々と調べることなんだが。
考えたくはないが最悪のケースも考えてあらかじめ自分の能力のことは知っておきたいしな。
「これから先、《アヴニール・アイ》は重要になってくるからな」
「コータ君何かいいましたか?」
「んや。シャルティアも仕事頑張れよ」
「はい。ですがコータ君は人の仕事よりも自分の仕事に集中した方がいいですよ」
「そこ触れないでー。そしてド正論過ぎて言い返せないと認めてしまってる自分がいて余計に心が痛い!」
挨拶をして次の仕事場に向かう。
────そして康太は、また一歩未来を変えるために歩き出す
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