14日目
風歩日記。……どうせ今日は日曜日。学校に行けば誰かしらが部活をやってて学校で寝ることが出来る。だから今は教会にいる。今日は沢代君はいない。神父さんは珍しく奥の部屋ではなく私のいる礼拝堂に一緒にいる。だけど何かしているわけではなくただ椅子に座って本を読んでいる。私も本が欲しい。
風歩日記。……私は嘘なんか吐いてない! 確かにあの場所にあった! 頭から血を流して長い髪の毛に血が絡み付いていて、倒れている多分女の死体があった! あったのに……。それなのに……どうして……。
風歩日記。……朝。空が白くなり始める少し前に私は教会から外に出た。眠気覚ましに散歩しようと思って。そして公園に立ち寄った時にトイレに寄った。そしたらその公園の女子トイレに頭から血を流して倒れている死体を見つけた。私は叫んでその場に倒れ込み腰を抜かしたまま教会の方へ必死で走った。
風歩日記。……私は教会に飛び込んで言葉にならない声で喋った。動揺と尋常でない様子は神父さんにも伝わった。神父さんに落ち着くよう促され私が説明しようとするとお巡りがやってきた。叫び声が遠くから聞こえたと思ったら私が物凄いスピードで走っていたから追いかけてきたらしい。私は深呼吸する。
風歩日記。……「で、3人で戻ったら死体は消えていた、と」……はい。「それじゃケーサツだってどうしようもないだろ。死体どころか痕跡すらないんじゃなあ」でも私見たんです。「寝ぼけてたんじゃないか?」お巡りにもそう言われました。「だろうね……」青先輩はそう言って苦笑した。でも……。
風歩日記。……「その話、誰にもしない方がいい」どうしてですか。だって私見たのに……。「そこだよ。お前が嘘吐くようなヤツじゃないことはみんな知ってる。そのお前が死体を見たなんて言いふらしたら犯人はどうする?」犯人……。「邪魔な目撃者を始末したいと思わないか?」そんな……。
風歩日記。……「私の親の知り合いにこういうの調べるの得意な人がいるから、その人に調べてもらって何か証拠でも出たら警察に動いてもらえばいいさ。ま、とにかく今回のことで分かったろ」……何がですか? 「夜は危険だってこと」青先輩はそう言って携帯電話でどこかに連絡をとった。夜は危険……。
風歩日記。……青先輩には探偵に頼むにもお金はないことを告げておいた。青先輩は気にするな、とそんなことはどうでもいいかのよう。でも誰かに依頼して動いてもらうにはお金って絶対に必要だと思う。「何も出なかったら後で働いて返してくれればいいよ」うっ。何も出なかったら全額負担ですか。
なんでも知ってるムジークン。
風歩さんは嘘を吐くような人じゃないコポ。それは風歩さんが育った商店街のみんなが知っているコポ。もちろんそれは、お巡りさんも重々承知しているコポ。
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