第19話 新たな任務
「傷は癒えたか小太郎? 」
箱根湯本に来てから2週間、初日の傷口も完全にとは言えないが、ある程度癒えた。
「だいぶのんびり出来たので調子は良いですよ♪ 」
そういって左肩を回す。
「そうか…。本当に良かった! それじゃあ、そろそろ小田原に帰ろうと思う。小田原に帰ったら、我と二人で
ちょっと待て! 俺は兎も角、氏康ちゃんが行くのはマズイだろ!
「ダメです。主が一緒についてくるのは反対です! 」
そういって氏康ちゃんを見つめると彼女は涙目で俺を見つめてくる。
「そんな涙目で見つめてきてもダメなものはダメです! 」
そういうと氏康ちゃんは頬を膨らまして
「小太郎も父上と同じことを言うのか! 小太郎は私の味方だと思っていたのに!小太郎も父上も大っ嫌いじゃ! 」
そういって部屋を飛び出そうとするので俺は氏康ちゃんの腕を掴み、抱き寄せる。
「なっ、何をするんだ! うっ、うつけ! 」
「主のことが大切だからに決まってるでしょ! 一緒に行って主に何かあったら俺は自分のことを死ぬほど恨みます! 城の中や、このあいだの様な、味方に囲まれている状況なら俺が死んでも周りが主を守り抜くことが出来ると思います。だけど敵の中に行くなら話は別です! 俺が死んだら、誰が主を守るんですか! だから主に嫌がらせをしたくてダメなんて言ってるんじゃないんです! 俺は主を失いたくないんです! 」
そういって腕の中にいる氏康ちゃんを抱き締めると彼女は顔を真っ赤にさせて頷き、俺を見上げてくる。
「妾だって小太郎を失いたくない、だが偵察には行ってもらいたい…。分かった、北条最強の武人に同行して…」
「ダメです! それだと直ぐにバレてしまいます。なので元服前で武と政治に精通している者を1人お願いします」
そういうと氏康ちゃんは頷いて笑ってくれた。
「安房から戻ったら褒美をとらせる、だから絶対に帰ってくるんだぞ! もし帰ってこなかったら後を追うからな! 」
そういって氏康ちゃんは顔を真っ赤にさせていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます