小太郎、参る!

兎神 入鹿

第1話 小太郎

「起きろ、起きろ小太郎! 」

 何処からか女性の声が聞こえる。

「次は、日本史のテストだぞ! いくら自信があるからって寝ていたらマズイだろ」

 目を覚ますと北条ほうじょう康香やすかの顔があった…。


「康香、顔近いから…」

 そういって俺は彼女のおでこにチョップをすると康香は少し怒った顔で俺を見つめ

「せっかく起こしてやったのに何だその失礼な態度は! 」

 と言って頬を膨らましていた。


 日本史のテストは今回、得意範囲の戦国時代だったので問題なく終わった…。

◆◇◆◇

「どうだった小太郎? 」

 康香が自信満々な顔で俺に尋ねてくる。

「まぁまぁかな? 」

 そういうと康香は嬉しそうに笑って

「まぁ、私の幼なじみだから当然だな! 褒美にアクエリを進呈しよう」

 と言って鞄からぬるくなったアクエリを渡してきた。


「お前さ、ぬるくなって飲みたくないからって褒美とか言って、俺に押しつけてくるなよ…」

 呆れ顔で康香に伝えると彼女は頬を膨らませて

「だってマズイんだもん」

 そういって微笑んでいた。

◆◇◆◇

「それじゃあ、お疲れ様」

「うん、お疲れ様だ! また明日、家に起こしにいくからな♪ 」

 それが北条康香との最後の会話だった…。

 いつも通りの食事といつも通りの風呂、眠って起きたら、また同じ様な1日が始まると思ってた…。あの時までは…。


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