第19話
「それじゃ行くぞ…」
「うん、優しくね……痛っ!」
その乙女チックな言い方にイラっとしてしまい思わずビシャリとケツを叩いてしまった。
「気持ち悪いことを言うな!」
「ご、ごめん…」
何が悲しくて中学時代からの友人の門(ゲート)をガン見しなければならないんだ。
だがこれを終えれば…。
俺も……。
遠くない未来に先走る喜びが背中を走った。
武者震いにも似た歓喜に耐えながら門(ゲート)の周りにある縮れたジャングルを掻き分けながらやっと探し当てた。
ゆっくりと根元までスポイトを差し込んで、慎重に、でも指先に力を込めてシリンジを押し込んでいく。
「ふぅっう、ふあ~~」
「だから気持ち悪い声をだすな!」
中身が全て入ったことを確認するとゆっくりとスポイトを引き抜いた。
その間にさえ吐息のようなため息を漏らす。
「そのまま力を抜くなよ、中身漏らすとか勿体無いからな」
スポイトの先をアルコールティッシュで念入りに吹きながら声をかけると、ハイハイした状態のまま眉間にシワを寄せながら門(ゲート)を締めている。
それを見ているとニヤケてしまうので、もっと見ていたい衝動に駆られたが、それ以上に強い衝動に突き動かされて俺もズボンを脱ぐ。
あらかじめビンのキャップに混ぜておいたブースター+リキッドをスポイトで吸い上げて門(ゲート)にあてがう。
入り込んだヒヤリとした液体が直腸内に溜まっているのを感じる。
あとはこれが吸収されるのを待つだけだ。
横を見ると染谷はまだ四つんばいだが、慣れた俺は心臓側を下に胎児のように膝を抱えて丸まる。
何回かしているうちにこれがもっともリラックスできる体勢であるのだ。
いまだ「まだか~?まだか~?」とうなっている染谷を見ながら俺は近く共に来るであろう友との幸せを予感していた。
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