この世界の真ん中に

ペペ

奏サイド

第1話

 時は5月の始め。 


 放課後。


「……」


 俺は黙ったまま、教室を後にする。やはりここは居づらいものだ。


 後ろから聞きたくもない声が聞こえてくる。


 最悪だ。


 1人で過ごす1日は今日も終わる。


 一人の方がいい。そう思い始めたのはいつ頃だったか。


 確か5年前のはず。


 耳に響くブレーキの音。車とぶつかり飛んでいく人。


 俺は3年前に大切な人を失った。1つの命が1つの事故によって失われた。


 あの日から外界から遠ざかっていったのだ。




 家に着くとすぐに2階に上がった。自室に入り鍵をする。


 ヘッドホンを付けてうずくまる。こうしていた方が落ち着くのだ。


 ヘッドホンからは大音量でロックが聞こえる。


 だが全然この音楽に乗る気分ではない。


 しばらくして、ヘッドホンを外し、勉強を始める。


 俺は1年の頃から成績は上の方だ。ほかにやることがないから勉強をやる。ただそれだけ。


 夕食の時間になったので僕は下に降りた。親の顔など見ず、静かに食べる。


 とても静かで居づらい。親もあのことを知っているので、特に口出ししない。


 テレビの音だけが聞こえる。


 俺は夕食を食べ終えると風呂に入り、歯を磨くと自室に入り寝た。


 いつも通りの1日。明日もいつも通りの1日でありますように。

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