ヒイラギ.16
「フィリップ。ひとつ良いことを教えてあげる」
女神は立ち上がり、フィリップの義体に通電させて自由に身動きできるようにしてから、椅子に腰かけた。その途中に剣を持ち、物資搬入口の方に投げて、部屋の外に。女神の口調に、先ほどの冷たさは全く感じられない。
「あなたたち神徒だって、私が作りだしたものでない保証なんてどこにも残ってないわ。昔はネルにいる人たちも、地球で頑張ってもらってる神徒たちにも、元になる生命体がちゃんと残ってたんだけど、何百年も経つ内にコピーしたりかけ合わせたりしちゃったもん。もちろん悪意はないわよ?生命に必要なことだっていう結論が、宇宙に行った人たちの経験によって
「神徒と、正真正銘ただのデータに過ぎないヒイラギの出会いのおかげで、あなたはきっと恋をしちゃったみたいなの。とってもクールだと思わない?生命が、永遠に紡ぎ続けるはずの生命の繋がりが断ち切られてしまった後のその世界で、愛とか恋とかそういう美しくって憧れの、
涙を拭って、女神は優しくフィリップに笑いかけた。咀嚼しきれない喜びに胸を打たれている様子だ。
それならば、とフィリップは思う。ふつふつと怒りに似た感情が湧き上がってくる。
「それならば、なぜこんな真似を?」
フィリップの問いに、あっけらかんと女神は答える。
「だって、私は
確かに女神はそういう人物だったと、フィリップは大きなため息をついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます