花は咲き、緑は芽吹く今日の日は

カゲトモ

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「はぁ、これでようやく一段落よ。一番の上が片付いた」

「それはそれはお疲れ様でございました」

 ロックグラスを半分ほど空けて深く息を吐くのはお疲れモードのマリコさんだ。

「どうにか引っ越しも終わったし、これで落ち着いて寝られるわ」

「大変でしたね。男の子一人の引っ越しと言っても荷物なり準備なり、大変でしたでしょう」

「男のくせに物を持ち過ぎなのよ。ただの大学生なんだから、必要最低限の物だけ持って行けばいいのに」

「そう言いつつも、マリコさんのことですから、いろいろ息子さんに持たせたんじゃないですか?」

 マリコさんは母ちゃんって感じだし、きっとアレもコレもと持たせたに違いない。簡単に想像できるもん。

「ふふ、ばれた?」

「息子さんの事大好きですもんね」

「なっ違うわよぉ、大好きとかそう言うんじゃなくて、ないと困るだろうからって。ほら、調味料だって今まで使っていた奴の方がいいだろうし、救急箱だって必要でしょ?」

 まぁ確かに必要だろうけど、絶対必要以上に持たせたんだろ。調味料だってこれ、月に何回使うよ? みたいなやつとか、常備薬でも、さすがにこんなにいらねぇよ、みたいなやつまで持たせたに違いない。

 困った時には助かるだろうけど、使わない時は邪魔になりそうだよな。

「学生の本分は学業なのに、ゲームやら漫画やら持って行くから収納スペースがもう一杯よ」

「勉学を励むには息抜きも必要ですから」

「そうは言ってもねぇ。洋服だって山ほどあったし、これからも増えることを考えると恐ろしいわ」

「ふふ、そうですね」

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