第一章・幕間「決意の夜」
林間合宿一日目の夜。
ローグは夕食と入浴を手早く済ませて、相変わらず長い廊下を歩き、一人自室に向かう。
廊下の大きな窓から差し込む月明かりは、満月でいつも夜より少し明るい。
綺麗な満月を眺めながら今日の属性検査の時、ニーナ先生に言われた事を思い出す。
『よく覚えておけよローグ!これがお前の得意な魔気だ。
氷属性は剣全体の切れ味が格段に上がるのはもちろん、氷を使った物理攻撃も可能になる。
逆に使い方によっては人を護る盾の壁だって作る事だって出来る』
自分の持つ剣が凍り付いていた時の事を思い出しながら……
さらに昔の記憶が蘇る。
ーーー
【剣聖暦1990年】
「ねぇねぇ、お父さんはどんなお仕事をしているの?」
家族三人で食卓を囲むようにして、見た目は六~七歳の銀色の髪をした少年は目をキラキラと輝かせながら、同じく銀色の髪に鋭い目つきをした父親にスプーンを向ける。
「あら、ローグ。お父さんにスプーンを向けては行儀が悪いわよ、お食事の時はお行儀良くしないとね」
大人しめのライトブラウンの髪をした、いかにも優しそうな女性は少年を落ち着かせるような声で注意する。
「はーい」
ローグと呼ばれるこの少年は不満そうな表情で皿にあるシチューを頬張る。
「お父さんはね、世の中にいる悪い人を退治してこの国の守っているの」
「そ、そうなの!凄いよ、お父さん!!」
鋭い目つきの男は一瞬、ローグに目を向けたが、すぐさま食事に集中する。
「じゃあ僕も将来はいつかお父さんみたいに強い人になって正義の味方になるよ!!」
また少年は先程、母親から注意されたことも忘れ、目を輝かせて食卓に両手を出して身を乗り出す。
「…………………」
鋭い目つきの男は無言のまま黙々と食事を続ける。
ローグはこの状況になれているのか、一方的に喋り続けた。
「こうなったら僕も早く強くなりたいよ。お父さん今度さぁ僕に強くなる方法を教えてよ!!」
「ダメよローグ、お父さんのお仕事は忙しいの。それより今度お母さんが一緒にお勉強を教えてあげるから」
「えっ、やだよ!勉強なんかつまんないし、それにどれだけ勉強したって強くはなれないじゃん」
ローグは足をバタバタして駄々をこね始めた。
すると先程まで終始無言だったた男が低い声で呟いた。
「ごちそうさま。次はまたいつ帰ってくるか分からない。それまで留守を頼む」
それだけを言い残し男は席を立った。
「はい、あなた。お気を付けて……」
男は振りかえり際に一瞬、ローグを見たように思えたが止まる事も、声をかける事も無く部屋を出て行った。
「ねぇねぇお母さん、前から思ってけどお父さんってなんであんまり喋らないの?」
この状況に慣れてはいたもののつい長年思っていた事を口にする。
「そうねぇ、お父さんは昔から無口な人だったの」
母親はどこか切なそうなそれでも少し嬉しそうな表情になり、こう告げる。
「でもね、あの人はすごい優しい人でちょっぴり寂しい人なの。そう、見た目は少し怖いけどね」
興味津々な表情を浮かべるローグに対してニコッとした表情で母親は答えた。
「さびしいひと?」
不思議そうに首を横にかしげる。
「そう。お父さんは凄い腕の立つ剣士さんなんだけどね、いつも大勢の人を助けてるのに、どこか目の奥は寂しそうなの。
でも、それがあの人の優しさなのかも」
「うーん、最後らへんは良く分からないけどやっぱりお父さんは強い人なんだね!しかも剣士さんかぁ~カッコいいなぁ~」
ローグは剣の代わりにスプーンをブンブン振り回し、トーウ、エイッなどと剣の真似事をして見せる。
「コラッ、さっきも言ったでしょう。スプーンを人に向けたりブンブン振り回してはいけないって」
ごめんなさい、と言いながらも少年は嬉しそうにシチューを頬張る。
「さぁ早くお食べなさい。冷めちゃうから」
「はーい」
ローグは空返事をし、自分がヒーローになった妄想を何度も繰り返していた……
ーーー
家族三人で食卓を囲んで数週間経った。
外は嵐のように雨や風が吹き荒れ、窓はギシギシと頻繁に音を立てる。
時刻はもう夜で嵐のせいなのか灰色に濁った空がそれを忘れさせる程に不気味だった。
「すいませーん、すいませーん。奥様はございますか!!」
外からの誰かの声が微かにだが聞こえ、ドンドンと何度も家の玄関をノックする音が聞こえてくる。
「お母さん、こんな嵐の中誰かが来てるよ?」
「ホントね。こんな嵐の中、一体どなたかしら?」
ライトブラウンの髪を揺らしながら不安そうな表情の母親が玄関に向かう。
「はい、今出ます」
そう、玄関先の訪ね人に答え、母親は玄関を開ける。
ピューという勢いの強い風が開けた扉から吹き抜けて、玄関近くにいたローグにも風が伝わる。
「どなたでしょう……か」
母親の視界にまず真っ先に見えたのは、傷だらけでボロボロになった甲冑を身に纏った三人の姿だった。
両端の二人は真ん中の男の支えるように肩を担ぎあっていた。
三人とも既にボロボロなのは一目瞭然なのだが、真ん中の男の甲冑は更にボロボロで甲冑は血だらけになっているのが分かった。
両端の支えている男たちの表情も何かに怯えている表情だったが、真ん中で肩を担がれていた男の首はだらんと下を向いたままだった。
母親はすぐさまそれが誰か理解した。
血の気の引いていくように顔が青ざめ、両手で口元を覆う。
「奥様こんな嵐の夜分に申し訳ございません。そ、それよりもジーグ様が戦闘中に大けがの重症を!!
命はギリギリの所で持ちこたえていますがっ……」
父親と同じ軍隊の部下であろう男は必死な声で訴えかける。
「わ、分かりました。とにかく中へ」
母親はいきなりの急な出来事に焦りながらも三人を中のリビングに招き入れた。
『せーのっ!!』
ボロボロで血だらけになった父親・ジーグの甲冑を三人がかりで脱がせベットに寝転ばせる。
「こんな事になってしまって申し訳ございません奥様」
二人の部下は父ほどではないが、ボロボロの姿でどこか悔しそうな面持ちで母に頭を下げた。
「お二人とも頭を上げてください。そんな事はありません。主人をここまで運んで下さった事に大いに感謝します」
「ハッ!!」
「それより、どうしてこんな事になったのでしょうか?
今回はいつもの敵国との戦争より小規模だと聞いていたのですが……」
「はい、奥様の仰っられる通りです。今回はいつもの戦争よりは小規模で、被害がここまで出る事はまず無いと我々も思っておりました。
しかも二軍で攻めるだけの、比較的に小規模の戦争でした」
一人の部下に続いて隣にいた少し瘦せ型の部下が続ける。
「更にその二軍の将を務めていたのは、剣聖であるアルバ様とその側近であるジーグ様でした。
戦争が始まってからも軍の士気は高く、何より率いていたのがラタリア王国の中でも最も実力のあるお二方だったので終始優勢でした」
更に部下達の顔が曇っていく。
「しかしっ……やつらが現れたんです……」
部下の一人が膝をバンと叩く仕草を見せる。
「やつら……?」
「はい、ここ最近力を確実につけて大きくなってきたデットロームですっ……」
「デットローム?」
「そうでした。まだ国民の方達にはその存在が不確かな事もあって、あまり大々的に語られる事はありませんでした。
実際、私達の軍の中でもその存在を間近に見たものは多くはいませんでした」
ローグは部屋の壁の隙間から、除き込むようにして、父のうなだれる姿を泣きそうになりながら見つめていた。
「奴らの噂が軍内でも広がり始めたのはここ最近の事で、任務中で出くわした軍の仲間が魔物と何人かの人間に襲われたとか。
暗殺者は他にもいくらでもいるので、魔物と言っても噂を流した奴らが恐怖のあまり大袈裟に言っているものだと私達もあまり深くは考えていませんでした」
部下が言い終えるとほぼ同時に瘦せ型の男が続く。
「でも本当に魔物はいました……それも大量に……」
「大量に!?」
母親は半信半疑な気持ちはあったが、この状況で噓をつく理由もないのも確かだった。
同時に部下たちの精神的疲れも考慮し少し休養が必要だと感じた。
「分かりました。とにかくあなたたちも今は休んでください。二階の客間を使って下さい」
「それはありがたきお言葉なのですが。しかし奥様、もっと大事な事をお伝えしなくては行けませんっ……」
部下の一人は今まで見せたどの表情よりも険しく、怒りに満ちた顔つきだった。
今現在、目の前で夫であるジーグが重症になっている事以外にもっと大事な事などあるのかと思いつつ母親は部下に問う。
「何かしらもっと大事な事って?」
「…………………」
数十秒間沈黙したのち、瘦せ型の男の口元が震えながら口を開く。
「……………け、剣聖様、アルバ様が……戦死しましたっ……」
「えっ………」
母親はあまりの驚愕な出来事に再び口を覆う。
覗き込んで聞いていたローグはしばらくの三人の沈黙がたまらなく嫌なものだと感じた。
そして長い沈黙の後、やせ気味の部下が口を開く。
「敵国であるマデラは、この戦争が初めから劣勢になると踏んでいました。
そしてあらかじめデットロームと手を組んでいました。
優勢だった我々の軍の倍以上は多いデットロームが戦場に乱入し形勢は逆転。
私たちは追い詰められる形となり、敵国はデットロームに任せ軍自体を自国に撤退させていきました」
もう一人の部下が会話を続ける。
「私達の士気はその時点で壊滅状態でした。しかし、剣聖様が一人諦めるどころか逆に軍を奮い立たせようとしました」
ーーー
雨がぽつぽつと降り始め、雲行きがどんどんと怪しくなっていく。
剣聖・アルバは光の魔気の達人であった。
自軍の三倍以上ある敵に向かって光で作った巨大な剣を敵に斬りつけ道を作り、軍の先頭で指揮をとっていた。
「お前たちは、何も怯える事はない!!
決して怯むな!この私の光に続けぇぇぇぇええ!!」
しかしその奮闘も長くは続かなかった。
相手のデットロームは、人間だけではなく鬼の姿をした人型・オークという魔物とも言える奴らが大量に存在していた。
オークだけならまだなんとかなったかもしれないが、問題はその一番後衛にいた不気味な笑みを浮かべた人間の男がそうはさせなかった。
「お前がデットロームのリーダーか?」
「さぁな。お前に言っても今日死ぬんだから意味ないだろ?それよりもデッドロームって名前、いいな。ヒヒッ」
薄気味悪い男の笑いに続いて周りにいたオークたちもゲラゲラ笑い出した。
明らかにこの薄気味悪い男は、オーク達とは格が違う。
そう悟ったアルバはジーグに振り向き声を上げる。
「ジーグ!!お前は自分の軍と私の二軍を引き連れてラタリアへ戻れ!」
「行けませんアルバ様!!
何をお考えですか!?
今我々が撤退すればアルバ様やラタリアはどうなります!?」
「構わん!こんなやつら私一人で十分だ。いいから全軍を撤退させろジーグ!」
「言ってくれるではないか光使いよ。ヒヒッ。まぁ全員逃がさんけどなっ!
お前たち、逃がすなよ?」
薄気味悪い男は剣をジーグたちに向ける。
その号令の後、オークたちはジーグ軍に襲いかかろうする。
次の瞬間スパーン、と黄色い閃光が四匹いたオークのお腹付近に、水平に斬り込みが入った。
オークたちの上半身と下半身の胴体は真っ二つになりドチャっと鈍い音を立て地面に着地する。
「これは剣聖命令だ!!
必ずラタリアに一人も死なせず帰還しろ。城付近に戻れば追手が来ても立て直せる!!
よいな、ジーグ!!」
ジーグはその時自分がどんな顔をしていたのか覚えていないのだろう。
劣勢的状況からくる歯がゆさや悔しさ、情けなさ、怒り全ての感情がその表情に込められていたのかもしれない。
「全軍撤退!!
全速力でラタリアに帰還せよ!
行けっええ!!」
ジーグの号令が全軍に響き渡った時、軍は一気にラタリア目指して馬を走らせた。
⦅頼むぞジーグ……お前ならまだ軍を立て直せる、いやお前にならラタリアを任せられる……真実を見てどうするかはお前が決めるんだ⦆
「デッドロームに告げる!
お前たちは今、一番戦ってはいけない男の前にいるんだ。死んでも恨むんじゃねぇぞ」
「相変わらずかっこいい事言うねぇ〜ヒヒッ。殺せ」
ざっと一万以上はいるであろうオークは、たった一人の男を殺す為に襲いかかる。
『ギャァアアアアアアア!!』
「力を貸せ、光の精霊よ……」
アルバの刀身に光の粒が集束し始める。
その光が最大限に溜まったと同時に、剣先を空に向ける。
上空に放たれた光の玉が、花火のように浮かび上がっていく。
『
言葉の後、光の玉は解放。
凝縮された玉は幾重にも枝分かれ、上空から光の矢が降り注がれる。
大量に襲いかかってくるオーク達に次々と光の矢が貫いていく。
『ギャァァアアアアア!!』
アルバが放った技で大量にいたオーク達の半数は倒れ、さっきまで後衛にいた薄気味悪い男が先陣に寄ってくる。
「待たせたな。小僧」
アルバは髭をなじりながらニヤッと笑いを見せた。
そしてデットロームの軍に一人、突っ込んで行った。
「ゔおぉぉぉぉおおおおお!!」
ーーー
敵の追っ手が減り、かなり進んだ所でジーグはアルバのいた方向を見つめていた。
天候は最悪で、今にも嵐が来てもおかしくないその雲は、暗黒を思わせる程暗い。
しかしアルバが戦っているであろう、その場所一帯だけは眩しすぎる程に輝いていた……
「ジーグ様、危ない!!」
美しい光に気をとられ油断していたジーグは、部下の呼ぶ声に一瞬の判断が鈍った時、オークの棍棒が脇腹をずっしりと叩きつけた。
「うっ……っ……」
「ジーグ様!!このクソがッ!」
瘦せ型の男の剣先からトルネードのような暴風がオークに直撃し、オークは吹っ飛んでいった。
「ジーグ様!!大丈夫ですか!?お、おいジーグ様が負傷した。ここからは俺が馬でラタリアまで運ぶ!残りの殿任せた」
「あぁ、敵もほとんどいない、後は任せろ!」
痩せ型の男はジーグを自分の背中に捕まるように乗せ、馬を走らせて行った。
ーーー
「ハァハァ、ハァハァ、ハァハァ、なんだこいつ化物か!? ヒヒッ」
薄気味悪い男の足元にはアルバの体が転がっていた。
周りにいたオークは一匹も立っておらず、デットローム軍はまさに壊滅状態だった。
「まぁいいわ。
こいつ一人殺れただけでも成果はでかい。
しかし俺以外全員やられるって何なのこいつ?
おっかしぃなあ〜確か一万以上はいたんだけどな」
「だ、誰を……殺ったって……」
地面に寝転ぶアルバの手が、今まさに薄気味悪い男の足に触れようとしていた。
「
言葉の後、刀身から黒紫色の尖った影が剣先から複数に投射され、何本もアルバの身体を貫通した。
「ウッ……ゥ……」
「チッ、このおっさんどんなけしぶといわけ?
もうしんどいから撤退~」
片足を引きずりながらも薄気味悪い男は、ラタリアとは真逆の方に戻って行った。
アルバの甲冑は粉々に粉砕しており、貫通された複数の身体の穴からは大量の血がポタポタと地面を濡らしていた。
「ウッ……ッ……ハァハァ」
最後の力を振り絞りアルバはうつ伏せの状態から仰向けに身体を回転させ、両手を大の字に広げた。
首から胸辺りに掛かっていたペンダントが、空に向くように剝き出しになる。
その割れた小さな窓からは、にっこりとした表情に金色の髪をした幼い少女と優しそうな表情の母親らしき人物の2人がこっちを向いて笑っていた。
⦅……リリ…ア…すまんな……⦆
そう言い残した後、ゆっくりと剣聖は目を瞑った……
ーーー
「そう、そうんな事が……」
「はい、ですので我々はすぐさま城に戻り、混乱する軍を立て直さなければ行けません。
奥様はとにかくジーグ様の手当てと看病をよろしくお願いします」
「分かりました。この人の事はお任せ下さい。あ、そうだこれだけでも持って行って下さい」
母は二人の部下に今朝作りすぎて余っていたものがあるのを思い出し、袋包みに入ったサンドイッチを手渡した。
「ありがたく頂戴します。ではこれで」
「えぇ、あなた達だって負傷しているので無理はなさらずに。天候だって最悪なのですからお気を付けて下さい」
部下たち二人は母親に一礼をし、リビングを抜けて部屋を出ようとした。
その時、泣きじゃくり鼻水を垂らしたローグが、横いっぱいに手を広げて二人を立ち塞いだ。
「コラッ、ローグ。お兄さんたちはお仕事に戻らないといけないの。分かる?」
「ゔっ、ゔるさい!!
お前たちが弱いから父さんがこんな事になったんだぁ……っ…ぅ」
鼻水が地面にポタリと大粒の涙がボツボツと床を打ち付ける。
「なんて事言うのローグ!!
この人たちはお父さんをここまで運んでくれた恩人なの、今すぐ謝りなさい」
首を大きく横に振り泣きじゃくる。
「……ぅ……っ…そんなにデットロームとか言うやつが強いんなら、お、俺が倒してやる……。
大きくなって絶対にデットロームをダオぢてやるんだぁ………っ」
「二人ともごめんなさい。ほらいい加減な事言ってないで謝りなさい。ローグ!!」
いつもは優しい母も声を大きくして怒った。
しかし、痩せ気味の部下がローグの顔近くまでしゃがんで、銀色の髪に手をそっと置いた。
「ローグ君だっけか。ごめんな~お父さんを守れなくて。
でも次はお父さんを絶対に傷つけないし負けない、約束する。そんでもってデットローム達も倒す。
でもな、デットローム達は滅茶苦茶強いんだ。そこでローグ君が強くなってこの剣聖の軍と共に戦ってくれる日を待ってるよ。
強くなれ少年!」
そう言われたローグは先より倍の大粒の涙を流した。
「ごめんなさい……待ってて」
ーーー
「チッ、また嫌な記憶が」
ローグは長い廊下を歩き、ようやく自室の部屋の前までたどり着いていた。
ガチャリと扉を開けベットに座り込もうとした時、何か嫌な音が聞こえた。
「グゥゥゥゥゥゥゥ……グゥゥゥゥゥゥゥ」
自分とは少し離れた、もう一つのベットに赤髪の少年が大の字になりながら爆睡していた。
「うっ……忘れてた。
そういやこいつ魔気の属性検査の時からいなかったけど、なんでもう爆睡しているんだ? しかもなんか怪我してるし」
「へへへっ……おら、行くぞ…コフィン」
ローグはまさにごみを見るような目で、寝言を言うバカを見つめていた。
「コフィンって誰だよ」
そうして林間合宿の一日目の夜が終わっていった。
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