第23話 魔導連結部 隊長まほろば
国王を囲むようにして、軍部大臣、行政大臣、研究部大臣、各貴族の長、先日全滅してしまった、
――して、準備はどうなっておるのだ。
「は、国王陛下!
貴族を代表して、ガディス公爵が口火を開いた。
「ガディスよ、そんな作戦で本当に大丈夫なのか?」
「お主は口出し出来る立場ではあるまい。バイツ公爵、お主は
「ええい、うるさいガディス、国王! 恐れながら申し上げます! 敵は
――両者の言い分は分かった……。して、バイツ公爵……貴殿にはその何重もの策というものはあるのか?
「い、いえ……それは……」
自身の武器である
が、肝心の
「バイツ公爵よ、お主はよく頑張った。後は我々に任せて
ガディス公爵が横に座っている若者に声をかける。
「……あ、はい、大丈夫であります!」
「(今ウトウトしてたよなこいつ……)まぁ、よい! ルーディスはまだ若いが、ブライティエルフではトップクラスの光魔法と剣術の使い手でありますぞ。どんな敵が攻めて来ようが一撃ですわい!」
「申し上げます! その敵に関する情報ですが……昨日
そう発言したのは研究部大臣だ。
――して、どうだったと言うのだ。
「いえ……それが、恐らく
『グ、グランドグールじゃと!』
『あの何百年に一度現れるという妖魔か!?』
『そ、そんなものに勝てるのか!?』
『ああ……おしまいだ……』
――皆の者、静まれい! 研究部大臣サナギよ、して策は?
「は、ヨロズ!」
「あ、は、はい、恐れながら、私共の隊長まほろば様が今結界を研究してるであります!」
突然声をかけられて驚いたのか、ビクビクしながら
「で、その
★★★
「ふんふーんふーん。今日の料理もいい料理ーー。わったしは素敵ーなメイドさんーーー」
鼻歌を歌いながら料理を運ぶメイドさん。
……コンコンコン!
「隊長ーー隊長ーー? 入りますよーー?」
……ノックしても反応がない。そのまま中に入るメイドさん。
「隊長ーー隊長ーーご飯置いときますよー。あ、あとブリンティス村からお客さん来てますよーー? あれー居ないのかなー」
――これをこうして、と、あ、なるほど、
「た、い、ちょう! だーーーれだ?」
―― あれー、何かが足りないと思ったら急に視界が見えなく……ん? この手の感触は? メイア?
「隊長正解でーーす! もうー隊長ノックしても呼びかけても全然気づかないんですものー」
「あ、ごめんね。もうちょっとで分かるところだったから気づかなかったよー」
「隊長お食事朝から食べてないでしょー。ランチ置いときますよー。そういえば、今日緊急会議、出なくてよかったんですかーー?」
「え? 会議? ああー何か言ってたねーーいいのいいのヨロズが適当にやってくれてるから」
「隊長相変わらずですねー。あ、そうだ。お客さん! 隊長にお客さんですよーブリンティス村から。何か急ぎみたいでしたけど、こっちも不在って言っておきますかー?」
「えー、今取り込み中だから適当に不在って……ん? 今何て言った?」
「え? 不在って言っておきますかー? って言いましたけど?」
「いやいやその前……」
「ええと……ブリンティス村からお客さんだって」
「ブリンティス村! それを早く言ってよ! それ
「エイト様? ああ……元隊長ではなかったですよ?」
「ええーーもうーーじゃあ適当にやっといて」
再び椅子に座ろうとするまほろば……。
「はい……でもいいんですか? その元隊長のエイト様から伝言があってとか言ってまし……」
ガタン!――
「すぐ行きます!」
メイドが言い終わる前にまほろばは立ち上がり、部屋を出ていったのだった。
現ブライティエルフ
「懐かしいわねライティ。レフティは元気?」
「はい、隊長もレフティも元気にやってますよ。報告は先ほどお伝えした通りです」
「エイト様がどうしても
「あのー、まほろば様、聞いてますか?」
「あー、聞いてるわよ。エイト様の頼みならなんとかするしかないわね。要はグランドグールとその敵の親玉をなんとかすればいいのよね?」
「凄く簡単におっしゃってますけど……皆さんそれで緊急会議を開いているのでは?」
緊急会議中といって、王宮に入れてもらうのにライティも苦労したようだ。まほろばは会議に参加していないと聞き、研究室へと直行したのである。
「あんな会議どーでもいいのよ。会議したところで敵が倒せる訳ではないでしょう。それから、グランドグールの
「え? 本当ですか?」
「いや、むしろエイト様は二十年前に既にやってたわよ? 私横で見てたし。ずっと見てたし、嗚呼……エイト様のあの闘いの中で見せた横顔……素敵だったわ……」
「あ……あのーーまほろば様ーーまた妄想の世界に……あーー、ヨダレ垂れてますからーー還って来て下さいー」
「あら、ごめんなさいね。まぁ、そういう訳なんだけど、今造ってるものがあるんだけど、あともうちょっとなのよねー丁度よかったわ。ライティ手伝って!」
「え? でも私もエイト様のところに戻らないと……」
「えぇーー? そんな事言うーーー? 私なんかエイト様に毎日会いたくても会えないのよー。研究しながらエイト様を思う日々……少しくらい手伝ってくれてもいいじゃないー? 世界を救う研究よー?」
「はぁーー分かりました……少しだけですよ……」
ライティがこの後夜通し研究に付き合わされたのは、言うまでもない……。
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