久能の首輪

 ヴァリアッテの所有物だと分かるように、久能氏春の首には、首輪がはめられています。


「この首輪が余の物という証である。この首輪をしている限り、この惑星で唯一の人類である久能には、誰も手を出さないはず。もし手をだしてくるような輩がいるようならば余に言うが良い。一族郎党半殺しにしてくれる」


 その首輪は、休戦の条件で差し出された時、ヴァリアッテ自らが久能の首にはめました。

 ヴァルに住まう人ならば、その首輪の意味が分かるので、久能には手出ししたりはしなかったりします。

 魔王の所有物に手を出そうなどと考える輩は、惑星ヴァルにおいては皆無に等しいのです。


 当の久能氏春は首輪をはめられていても、自暴自棄になったり、不服に思っているワケでもなく、ヴァリアッテの所有物である事を認めています。

 久能自身、そういう現実を素直に受け入れている事もあります。

 リードやら何やらで飼い犬のような扱いを受けているワケではないので、別段気にならないというところもあったりします。


 久能はまだ気づいていない、とある事実があります。

 それは、ヴァリアッテの所有物扱いされている事に喜びを感じていたりする事です。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る