散りゆく花びらとこの空に微笑みを
プル・メープル
プロローグ
私はずっとここにいる。
生まれた時からずっと……。
母の顔も、父の顔も知らず、
この場所で永遠の時を重ねる。
失うものはない。得るものもない。
ただ、平和が当たり前よりも安価になった場所に私は生きている。
ここにいるのは私の姉と妹だけ。
他のみんなは知らない。
いや、知りたくなかっただけかもしれない。
最近はそんな気がする。
ただ、私にとって、記憶なんて一種の娯楽なんだって、お姉様は言っていた。
私たちのような、永遠を持つ嫌われ者にとって、他の人なんて一時の点でしかないって、言ってた。
だから、私は思い出さないように、忘れてしまえるように、今日も唄を読む。
全てを始めさせる唄を……。
この世界のどこかにいる、他の人まで聞こえるように。
私は今日も『始まりの唄』を読む。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます