第5話 キャラメイク!(2)


容姿か〜、どうしようなあ。

ゲームやる時もアバター設定に1番時間掛けてたからな…。


種族で選べる色とかパーツが違うのか…。


「これ、種族って生きてくうえで何か弊害とかあるのかな?」


まあ神に聞いてみるか。


「種族間のいざこざはあるぞい。」


うわ、呼ぶ前に来た。


「なんかその扱いに慣れてきた儂が居る。

…と、種族による弊害じゃったな?」


そうそう。

人間と獣人とか魔族って争ってたり?


「人間と獣人は同じヒト属として良好な関係じゃが魔族は忌み嫌われておったりするな。まあ、それも部族や国によるがな。」


なるほど。じゃあ魔族は無しだな。

エルフとか居ないの?


「魔族に含まれておるぞ。」


エルフいいと思ったんだけどなあ…。


「エルフはヒトとあまり親交が無いんじゃ。なんせ隠れ里で一生を終える者が大半じゃからな。」


それはなんか嫌だな。

やっぱり人間か獣人にしよう。


「ちなみに獣人は魔法が苦手じゃよ。

魔力があっても放出が上手くできんかったりするんじゃ。」


…人間しか選択しないじゃない。


「中には獣人と人間のハーフで魔法を使えるやつも居るが、ごく稀じゃな。

殆どが獣人の血が勝ってしまうんじゃよ。」


ネコミミとか生やしてみたかったな…。


あ、身分や環境選べるってことはハーフにも生まれることが出来る?


「やっぱり目敏いのう…。出来るぞい。」


よし、獣人にしよう。

なんの獣人にしようかな~♪




――――――――――――――――――。




結局、獣人のネコ族にした。


といっても、地球でいうところのネコ科の動物はすべてネコ族になるらしい。

結構アバウトなわけ方だった。


「細かく分けるときりがないんじゃよ…」


ふーん。なんでもいいけど。


種族も決まったし、性別と見た目を選ぼ!

あ、神はもう帰っていいよ?ここからは特に聞くことないし。


「ほいほい…。わし神なんじゃけどな…。

せめて“様”くらいつけて欲しいもんじゃ…」




一人黙々と作業を続けて30分ほど経った。


「でーきた!完璧!」


タブレットに表示されるのは成長後の姿なのだが、画面に映るそれはやり過ぎなくらい整った見た目をしたネコミミ美少女だった。


腰まで伸びた艶のある綺麗な銀髪。

その髪の間から生えるネコミミ。


華奢ながらも出る所は出て、クビレのある腰に綺麗な丸みを帯びたヒップライン。

そこに生える綺麗な毛並みの尾。

そしてスラリと長い手足。


少し童顔に見えるが、パッチリとしていて、ルビーのような鮮やかな透明感のある赤色の瞳にバランスのとれた口や鼻。


陶器のような白い肌。



「…あきらかにやり過ぎたかも。」


まあいっか、美少女で損することは無いであろう!


「容姿の設定も出来たかのう?」


出来ましたよ?あとは身分とかですよね?


「お主は敬語を使うのか、使わないのか、どっちなんじゃ…?」


身分の設定は?どうすればいいの?


「そのタブレットですべて出来るぞい。

種族や容姿、環境で選べる身分は絞られるはずじゃ。

ってお主、その容姿はやり過ぎじゃろ…」


私も思ったわ。でも面倒だしこのまま行く事にしたのよ。


「その見た目だと身分は必然的に高くなるが良いのかの?」


なにそれ聞いてない。


「言っておらんからの。」


そういう事は事前に言うべきだと思う。

最低でどのくらいの身分になる?


「獣人の国の貴族…辺境伯や侯爵かのう。

最高で王族になるか…。」


王族だけは嫌だ。

政権争いとか大変そうじゃん。


「獣人の国は親殺し、兄弟殺し等が御法度じゃから人間より平和じゃぞ?

王族としての仕事が面倒なくらいじゃな。」


うーん、それならまだいいけど仕事が面倒なのは嫌だな。


「まあタブレットを見るんじゃな。

ヒトと獣人のハーフという条件に合う身分が見れるじゃろ。」


そう言われてタブレットで環境の欄をハーフに設定し検索をかける。


すると、出てきた身分は少なかった。


〈獣王国〉

・王国第3王女

・大公家(序列2位)第3子、次女

・公爵家(序列3位)第2子、長女

・公爵家(序列5位)第3子、長女

・辺境伯(序列8位)第1子、長女

・王国軍魔術師長(国王専属)第4子、長女

・王国軍近衛騎士長(上に同じ)第3子、長女


…この中から選べと?


「見事に権力者ばかりじゃのう…。

容姿作り直すかの?」


いや、それは嫌だ。せっかく作ったんだもんこのままいきたいな。


「ちなみに国王専属は下手な貴族より発言権などがあるから注意するんじゃぞ?」


それ選ぼうとしてたー。

魔法特化っぽいからいいと思ったんだけど。


「しかもよく見るんじゃ。

第4子にしてやっとの女児となっておる。」


あー、めんどくさそうなやつだ…。

そう考えると第1子とか長女も面倒だよね。


王女か大公家しか無いじゃん!

しかも大公って言っちゃえば王族じゃん!


やめやめ!!

うーん、この5位の公爵家ってどんな家?


「領民第一のいい領主の家じゃな。

儂のオススメじゃ!」


ふーん。じゃあここにしようかな…。

神のオススメって所が少し不安だけど。


「相変わらず失礼なやつじゃ…。

まあ、これで転生準備は完了じゃよ。もうすぐに転生させて良いな?」


OK〜!

最初は記憶無いのよね?その間の記憶は統合されるの?


「もちろんじゃ。

では、転生させるでな。達者でな!」


ばいばーい。もう合わないことを祈ってる。


「根に持つやつじゃのう…。」



私は眩しい光に包まれ、意識を手放した。



「やっと行きおった。

時間かけて良いとは言ったが半日かけたやつは初めてじゃったわい。長く感じた…。」



そんな神の呟きは私の耳には入らなかった。






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